実施目的
消費者がお客様の商品を選ぶ理由を紐解き、訴求する内容を明確にするためです。商品そのもの(メリット)ではなく、消費者が欲しい根源的なもの(ベネフィット)はなにかを調査し、どのような価値を訴求すればほしいと思ってもらえるかをはっきりさせていきます。マーケティング用語で言うと、戦況分析で明らかにしたバリュープロポジションを軸にベネフィットを特定していきます。ベネフィットとは、顧客が商品やサービスから得られる効果や利益のことを指します。
ベネフィットを3分類に分けて、ユーザーが最も価値を感じるポイントを特定
カリフォルニア大学で名誉教授を務める、ブランド戦略論のデービッド・アーカーさんは、ベネフィットを大きく以下3つに分類されています。これを参考にして、お客様の商材でどのベネフィットを訴求すれば、ユーザーが最も価値を感じてもらえるか考えながら進めていきます。
なお、3つのベネフィットは商材によって配分が異なります。機能的ベネフィットは欠かせないため原則訴求しますが、ユーザーが何を求めているかが軸になります。
機能的ベネフィット
商品の特徴によってもたらされるプラスの価値や効果です。吉野家で言えば、早い、安い、美味いです。
情緒的ベネフィット
商品を持つことで得られるプラスの感情です。レクサスやベンツ等の高級車で言えば、知人に自慢できて気分が良くなる。恋人にしっかりした人だと感じてもらえて安心できる。といった具合です。
自己表現ベネフィット
商品を持つことでできるようになる自己表現です。アップル社のパソコンのMacやIPhoneで言えば、先進的な存在だと自分を表現できる。といったイメージです。自動車メーカーのテスラも同じようなベネフィットを訴求しています。
よく取り上げられるベネフィットの具体例
機能的ベネフィットの代表例ですが、ドリルを買いたい人はドリルがほしいのではなく、穴がほしいのです。
ですので、「このドリルはこんな性能で〜」といった製品の特徴を訴求してもターゲットは興味がありませんので、思うように購入してくれないでしょう。どんな穴があけられるかを訴求しないといけません。よって
- どんな形状の穴があけられるか
- どのくらいの時間であけられるか
- 複雑な操作をしなくても簡単にあけられるのか
- 穴をあけるのにお金がどれくらいかかるのか
といった内容を訴求していく必要があります。
同じようにお客様の商品を訴求する際も、本質的に消費者は何を求めているのかを明らかにし、それを伝えていく必要があるのです。
調査方法
目標設定と同じく、消費者へのインタビュー。可能であれば私自らがサービスを体験し、何を求めているのかを明らかにしていきます。その後、競合がひしめいている中でどのようなポジショニングをとって、価値を訴求していくかを決定します。
インタビュー時は潜在課題を構造化・可視化するフレームワーク「オルタネイトモデル」の要素を参考にしつつ、以下3点を確認してベネフィットを探っています。
- きっかけ:どんなきっかけでサービスの利用を検討するのか
- 抑圧:利用する上でどんな抑圧(バリア・壁になること)があるのか
- ベネフィット:抑圧を解消するためにどんな価値を提供してほしいか
次の戦術設計でどんな方法でこの価値を訴求していくかを決めていきます。