リスティング広告の成果はキーワードで決まります。そのためキーワード選定は絶対に手を抜いてはいけません。例えるなら狙う的のようなもので、外してしまうと効果の出るところに広告が出せず機会損失に繋がってしまいます。

ただこれからリスティング広告を始める初心者の方でも、狙うべきユーザーを理解し、選定手順を間違えなければ外す可能性を大きく下げられますのでご安心ください。結論、以下の手順でキーワード選定を進めることをおすすめします。

  1. 狙うべきターゲットユーザー層を理解する
  2. 顕在層が検索する語句をメインキーワードにする
  3. 掛け合わせるサブキーワードを決める
  4. マッチタイプを設定する

上記手順はこれまで300社以上リスティング広告を運用してきた筆者がベースとしているキーワード選定方法です。細かいテクニックを上げだしたらきりがない領域ではありますが、これ通りに進めていただければ配信すべきキーワードの選定ができるはずです。

この記事では、キーワード選定の具体的な手順から運用でやるべき調整、キーワードに関してよくいただく質問の回答の説明をしていきます。キーワード選定は絶対外してはいけない工程なので、手を抜かず進めていきましょう。

ではまずはじめに、リスティング広告のキーワードとはそもそもなにかを説明します。

1. リスティング広告のキーワードとは

リスティング広告のキーワードとは、広告表示する対象範囲を決めるものです。

具体的に言うと、GoogleやYahoo!などの検索エンジンでどのような語句で検索されたら広告表示するかを、リスティング広告の管理画面でキーワードを登録して設定します。

キーワード=狙うユーザーとも言えるため、選定を誤ると自社商材に興味のないユーザーに広告を出してしまい、成果が出ない恐れがあります。ですので、リスティング広告の成果はキーワードで決まるといっても過言ではありません。一番手を抜いてはいけない工程だと私は思っているので、くれぐれも適当に登録しないようにしてください。

また間違えやすいのですが、キーワード=検索語句ではありません。キーワードは管理画面に登録する語句のことで、検索語句はユーザーが検索窓に打ち込む語句のことです。(検索クエリともいいます)

2. リスティング広告のキーワードの選び方手順

では本題のキーワードの選び方の手順を紹介していきます。以下の手順に沿って1つずつ説明します。

  1. 狙うべきターゲットユーザー層を理解する
  2. 顕在層が検索する語句をメインキーワードにする
  3. 掛け合わせるサブキーワードを決める
  4. マッチタイプを設定する

2-1. 狙うべきターゲットユーザー層を理解する

はじめにリスティング広告で狙うべきターゲット層を理解しましょう。

なぜなら、キーワード=ターゲットユーザーを表したもの言えますので、まずどういったユーザーを狙えば効果が出そうか考えてから、そのユーザーが検索する検索語句はなんだろう?といった手順で考えた方がわかりやすいからです。

結論から言えば、リスティング広告で狙うべきターゲット層は下図の顕在層です。この図はユーザー層の購買意欲の高さピラミッドで表したものです。

理由は広告費をかけて集客を行うため、購買率の低い潜在層を含めてしまうと赤字になってしまう可能性が高くなるためです。状況や目的次第で含める場合もありますが、基本的にリスティング広告は顕在層を狙うものであると理解しておきましょう。

注意点として指名層は最も購買率が高いため狙うべき層ではありますが、含めるかどうかはケースバイケースです。私の場合は以下にどちらかに該当する場合は含めることをおすすめします。

  • SEOで1位表示しているが競合が自社サービス名で広告出稿している
  • 予算やLTVによるが、自社サービス名のクリック単価が1,000円以上など高すぎない

色々ご説明しましたが、顕在層は必ずターゲットとなるはずですのでこの層を狙っていきましょう。

2-2. 顕在層が検索する語句をメインキーワードにする

次は自社の顕在層のユーザーが検索する語句はどんな言葉なのかを考え、それをキーワードのメインワードとして設定します。

キーワードは以下のようにメインとサブでスペース区切りで構成されており、この章で決めるのは左側のメインキーワードです。マッチタイプによりますが、挙動としてはざっくりメインとサブにそれぞれに設定したキーワードと同じような意味の検索語句に広告表示されるようになると考えていただければOKです。

メインキーワードを決める際は、広告を出す商材をそのまま表す言葉を考えるとよいです。広告の運用代行とコンテンツマーケティング支援を行っている弊社例を出しますので、出稿される商材と照らし合わせて参考にしてみてください。

指名顕在潜在
オンジンリスティング広告、SNS広告、コンテンツマーケティング、Google広告、Yahoo!広告、PPC広告、Facebook広告、Instagram広告 などWeb広告、Web集客 など
メインキーワードが思いつかない場合はキーワードプランナーの「新しいキーワードを見つける」機能を使ってみよう

もし顕在層のワードに検討がつかない場合は、後述するGoogle広告で利用できるキーワードプランナーの「新しいキーワードを見つける」機能を使うのがおすすめです。

使い方の手順は、Google広告でアカウントを登録したら、キーワードプランナーを開き、新しいキーワードを見つけるをクリック。

その後、Webサイトから開始をクリックして広告配信するリンク先を入力して結果を表示するとキーワードの候補が表示されます。ここを確認すると顕在キーワード選定の参考になるはずです。下記は弊社サイトを調査対象とした例です。

2-3. 掛け合わせるサブキーワードを決める

メインキーワードが決まったら次はサブキーワードを決めます。弊社が実際に行っている決め方の手順を説明していきます。やり方をざっくり説明すると、よく検索されているワードを一覧化して、その中で選定すべきものを選びます。

キーワードは拾うことを重視しよう

メインキーワードにも言えることですが、キーワードは自分で考えるよりもデータを元に拾うことを基本とすべきです。検索されている語句からコンバージョンの見込めるものを選定する方が確実だからです。検索されていないワードを登録してもクリックに繋がりづらいため、まずはよく検索されているワードを一覧化して、その中で選定するものを選ぶとよいです。

①メインキーワードの複合ワードを調査する

この作業はツールを使いましょう。目視より早く終わり、漏れも少なくなります。おすすめは無料で使えて機能も申し分ないラッコキーワードです。私も愛用しており毎日使っています。

そのため、こちらのツールを使った調査方法を説明します。サイトを開いたらメインワードを下記の検索窓に入力して検索をかけます。

ラッコキーワードのTOPページ

すると、メインキーワードと一緒によく検索される語句が表示されますので、全キーワードコピー(重複除去)のボタンをクリックして次の工程に移ります。

②検索ボリュームを調べる

次はキーワードの検索ボリュームを調べられる「キーワードプランナー」を使って調査していきます。検索されていないものを登録しても意味がないため、ここで検索されている需要のあるキーワードを抽出します。なお、キーワードプランナーも無料で使えますが、Google広告で配信実績がないとボリュームが曖昧な数値でしかわからないデメリットがあります。

詳細を表示するには数百円の配信が必要ですので、これからはじめてリスティング広告を配信する場合は、月額440円かかりますが、上記のラッコキーワードのプレミアム機能で検索ボリュームを調べることをおすすめします。紹介する方法よりカンタンに検索されているワードを一覧化できます。

今回は無料で使えるキーワードプランナーでのやり方を説明していきます。Google広告アカウント作成後、こちらから立ち上げるか、下記キャプチャの赤枠をクリックしてください。

そして、検索のボリュームと予測のデータを確認するをクリック。

次は検索窓にラッコキーワードからコピーしたサジェストキーワードをペーストして「開始する」をクリックしましょう。たまにエラーが表示されますが、その場合は検索できない記号が含まれているかと思いますので削除してください。

すると語句の月間検索ボリュームが表示されます。右上のダウンロードマークから赤枠のcsvをクリックして、データをダウンロードしてください。

ダウンロードしたファイルを開き、A列KeywordとD列Avg. monthly searchesのみ残してほかは削除しましょう。D列が月間の平均検索ボリュームになります。

その後D列を降順にして、検索ボリュームの多い順に並び替えを行います。

③購買検討度が高いワードを選定する

並び替えたら検索ボリュームが多いキーワードから順に購買検討度が高いものを選定していきます。ここはどうしても感覚にはなってしまいますが、購入や問い合わせ前のユーザーが調べる語句を考えるとわかりやすいかと思います。

系統別に以下に一例を紹介しますので、出稿する商材だとどれに該当するか確認してみてください。

系統キーワード
購買、サービス名通販、取り寄せ、購入、他サービス名
エリア系商圏のエリア名
価格調査系価格、費用、安い、格安
比較系比較、おすすめ、ランキング

調査対象は検索ボリュームが0より多いものをとしましょう。0以下のキーワードは検索がされていないので、登録してもクリックが獲得できる見込みが薄いです。(厳密に言うと0でもクリック獲得が見込めるものもありますが、判定が難しいので割愛します)

以上で購買検討度が高いサブキーワードの選定が完了したら、最後にマッチタイプの設定を行います。

潜在層の検索するワードは追加しないように注意

コンバージョン単価を低くするためには、顕在層の検索するキーワードだけを選定するのがポイントです。検索意図が全く異なるものは当然ですが、潜在層の検索ワードもはじめは極力追加しないようにしましょう。

後でも説明しますが、費用対効果を最も高くするには購買率の高いキーワードだけを配信している状態にすることです。率が低いキーワードを入れば当然コンバージョン率は下がりますので、基本的に潜在層が検索するワードは追加しません。

2-4. マッチタイプを設定する

マッチタイプとは、広告の表示範囲を調整できるキーワードの設定です。上記でどんな検索語句に対して広告表示するかを設定するためキーワードを選定しましたが、これをどの範囲まで拡張させるかを決める設定をこれで行います。

マッチタイプには以下の3種類があるため、それぞれの役割を理解しながら設定をしていきましょう。

マッチタイプ役割
完全一致キーワードと全く同じ意味または意図の検索語句に広告表示する
フレーズ一致キーワードと同じ意味の検索語句に広告表示する
部分一致キーワードと関連した検索語句に広告表示する

状況別での使い分けや、設定方法は下記記事で説明していますので合わせてご覧ください。
マッチタイプとは?3種類の役割と適切な使い分け方を解説

マッチタイプが決まったら、管理画面に選定したキーワードを登録しましょう。次からは配信後にやるべきキーワードの調整を説明します。

3. 配信後にやるべきリスティング広告のキーワード調整

ここまで基本的に配信前にやるキーワードの選定方法について説明してきましたが、成果を上げるためには配信後もキーワードの調整は必須です。

目的別にやるべきことは以下の表をご覧ください。

目的実施施策
コンバージョン単価の抑制・除外キーワードの登録
・キーワードの入札抑制
・キーワード停止
コンバージョン数の増加・キーワード追加
・キーワードの入札強化

また、ここで言うコンバージョン数の増加はコンバージョン単価が上がってでもコンバージョンを増やしたい時に行う施策を指します。コンバージョン単価が下がり、コンバージョン数も増加する場合もありますが、これはコンバージョンが”結果的に”増えたという解釈をしているので、コンバージョン数増加の施策には含めていません。

ではそれぞれ説明していきます。

3-1. コンバージョン単価抑制が目的の場合の実施施策

コンバージョンに繋りづらい検索語句への配信を抑制し、コンバージョン単価を下げます。施策毎にどう調整するか説明します。

①除外キーワードの登録

除外キーワード登録は状況によってはかなりインパクトが大きいため、一番はじめにやっていただきたい施策です。面倒な作業ではありますが確実に効果が出ます。絶対にやりましょう。

手順は以下の通りに行うと効果の大きいものから対策ができるので、やり方がわからない場合はこの通りに進めてみてください。

  1. 検索語句を表示する
  2. 費用を降順にして並び替える
  3. 上から見て、検索意図が異なる or コンバージョン単価が高い語句を除外登録する

手順の詳細や除外キーワードを登録する上で気をつけてほしいことは下記ページで説明していますので、合わせてご覧ください。
除外キーワードとは?効果の出る選び方と設定方法から理解すべき仕様

②キーワードの入札抑制

除外キーワードを登録したら、キーワードの入札抑制を行います。自動入札を使っている場合と手動入札の場合の2つに分けてやり方を説明します。

■自動入札の場合

目標コンバージョン単価を導入し、設定したコンバージョン単価を下げることで入札価格を下げられます。キャンペーンまたは広告グループのキャプチャ赤枠の単価数値を調整しましょう。

コンバージョン数の最大化だと意図的に入札を下げられないので、コンバージョン単価を意識して運用する場合はこちらを使用するのがおすすめです。ちなみにポートフォリオ入札戦略というものを使えば、自動入札を使いながらも入札価格を設定できますが、機械学習の妨げになりますので私はおすすめしておりません。

短期間で目標コンバージョン単価を変更するのは極力控えましょう

厳密に言うと獲得できるコンバージョン数にはよりますが、自分の経験上だと短くても1週間は一度設定した目標コンバージョン単価を変更するのは非推奨です。なぜなら自動入札は成果を安定させるための学習期間が必要なためです。初段階は様々な配信をしながら、成果の良し悪しを判断して最適化していく仕組みになっています。

そのためコンバージョン単価が急激に高くなるなど、調整したくなる場面があるかと思いますが、1週間はグッと堪えて様子を見ることをおすすめします。時間が経つと学習が完了し、落ち着いてくることが多いです。キャンペーンのステータスを見ることで下記のように学習中かどうかが確認できます。

成果の関係上、素早く調整しないといけない場合もあるかと思いますが、上記を念頭に運用をしていきましょう。

■手動入札の場合

手動の場合は、以下の優先順位順に入札価格を下げることで、コンバージョン単価の抑制が期待できます。

  1. コンバージョンが取れていない&予算を多く使っているキーワード
  2. コンバージョンは取れている&予算を使っているキーワード
  3. コンバージョンは取れていない&予算をあまり使っていないキーワード

実施する際は、管理画面上で指標をクリックして降順に並べ替えたり、フィルタ機能を使ってコンバージョン0件のキーワードのみに絞り込むことで対象が見つかりやすくなります。ぜひ使ってみてください。

また、下げ幅は目標数値と照らし合わせて決定します。例えば目標CPAが1万円。該当のキーワードのCVRが1%だとすると、CPCは100円以内に抑える必要があります。よって、入札価格を100円にするといったイメージです。

③キーワード停止

除外と入札抑制をしてもコンバージョン単価が下がらない場合は、キーワードを停止します。1を優先して行いつつ、2にも該当するキーワードがあれば対応しましょう。

  1. 予算を使っているがコンバージョンに繋がっていないキーワードを停止
  2. コンバージョン単価が高く、採算があってないキーワードを停止

キーワード停止はコンバージョン単価を下げられる可能性の高い施策ですが、止めてしまうと該当キーワードで配信が全くされなくなります。そのため機会損失に繋がり、コンバージョン数が減少してしまう恐れがあります。

予算を多く使っていてコンバージョンが取れていないキーワードがあれば別ですが、まずは除外キーワード、入札抑制といった手順を踏んで、それでも目標のコンバージョン単価に達しない場合に行うようにしましょう。

3-2. コンバージョン数増加が目的の場合の実施施策

次はコンバージョンを増やす場合にやるべき施策を説明します。

①キーワード追加

コンバージョン獲得の見込めるキーワードを追加して、クリック数を増やします。開始前のキーワード選定(追加)手順としては2章で説明した通りになりますが、ここでは運用中に行うコンバージョンを増やすためのキーワード選定方法を2つ紹介します。

もし上述した手順で追加をしていなければ、まずこの通りに実践してみてほしいですが、これも済んでいる場合はこちらの方法を実践してみてください。

■コンバージョンしたキーワードの複合ワードを追加する

コンバージョンした検索語句周辺のワードに配信を広げる方法です。経験上、コンバージョン単価を高騰させすぎない固い方法ですので、慎重に広げていきたい場合はこちらから実施してみてください。

手順は次の通りです。

  1. コンバージョンした検索語句を確認する(コンバージョン単価が見合っているものを推奨)
  2. その検索語句をラッコキーワードの検索にかける
  3. 表示された語句で検索ボリュームのあるものを追加する

なお追加する際は、フレーズ一致で追加を行いましょう。完全一致だと拡張しませんし、部分一致だと拡張しすぎてコンバージョン単価が高騰してしまう恐れがあるからです。フレーズ一致で追加して、採算が合っている場合は部分一致で追加をするとよいです。

■マッチタイプを広げたキーワードを追加する

完全一致だけで構成されている場合はフレーズ一致も同じキーワードで追加。完全一致、フレーズ一致の場合は、部分一致を追加。という形で現在より拡張性の高いマッチタイプを追加する方法です。

拡張性が広がるため獲得できるクリック数が大きく増えますが、その分コンバージョン単価も高騰するリスクがあります。そのためコンバージョンが獲得できており、コンバージョン単価を見合っているキーワードに限定して行うことをおすすめします。

ただ、昨今は部分一致がユーザーの検索意図やランディングページの内容を踏まえて配信をしてくれるため、完全一致よりも部分一致の方がコンバージョン単価が低くなることもあります。ですので、大きくクリック数を増やしたい場合は検証も兼ねて、はじめから部分一致を追加してみてもよいかと思います。

②キーワードの入札強化

広告の掲載順位を上げてクリック率の改善を行い、クリック数を増やします。やり方はキーワードの入札抑制の章と同じです。ただ下げるのではなく引き上げを行いますのでご注意ください。

自動入札の場合は目標コンバージョン単価の引き上げ。手動入札の場合は以下に条件に該当するキーワードの入札を強化してみてください。

  1. コンバージョンが取れている&コンバージョン単価が見合っているキーワード
  2. コンバージョンは取れていないが検索意図的に取れる見込みがある&予算を使えていないキーワード

入札強化をするとクリック単価が上がり投下コストが増えます。そのため、採算が合っているキーワードか実績は少ないが採算が見込めるものに限定することを推奨します。

商材によっては入札強化でもコンバージョン単価が抑制される場合がある

一部の商材では入札強化により、広告の掲載順位が上がることで、コンバージョン数の増加だけでなくコンバージョン単価の抑制に繋がる場合もあります。

具体にお伝えすると、急いでいる人がターゲット or 検索することが苦手な人がターゲットの場合は経験上この傾向が強いです。例を挙げると、緊急性の高いライフライン関連のサービスや不用品回収などです。

このような商材の場合は、入札強化を真っ先に行うことが最も効果的な場合もありますので参考にしてみてください。

4. リスティング広告のキーワードに関してよくいただく質問

最後にリスティング広告のキーワードに関してお客さんからよくいただく質問とその回答をご紹介します。同じく疑問に感じているものがあれば、参考になれば幸いです。

4-1. キーワードは何個くらい登録すればよいのか

予算や目標値、キーワードの検索ボリュームによりますので具体的に何個。という回答はできません。ただ断言できるのは、キーワードは多ければいいというものではないということです。

理想はコンバージョン単価が低く、コンバージョン数も多い。という状態かと思いますが、これを実現するためにはコンバージョン単価の低いキーワードに集中して予算が使えている状態にする必要があります。となると、コンバージョン単価が高すぎない採算の合うキーワードのみを配信する構成がベストというのが着地になるからです。

ですので数にとらわれず、まずは顕在層が検索するキーワードを漏れなく追加して、それに集中して配信できる構成にすることを目指すのをおすすめします。潜在層のワードも追加して、クリック単価を下げて採算を合わせるなど細かい方法もありますが、これは爆発的にコンバージョンが増える施策ではないため後回しでOKです。

4-2. クリック単価の相場はどうやったらわかるのか

記事内で紹介したキーワードプランナーを使うことでわかります。

相場のクリック単価を調べたいキーワードを「検索のボリュームと予測のデータを確認する」機能で検索した後に表に表示される「ページ上部に掲載された広告の入札単価(高額帯)」の指標を確認しましょう。下記キャプチャの赤枠箇所です。

ここに表示されている数値が相場のクリック単価と考えるとよいです。試しにリスティング広告関連のクリック単価を調べてみましたが、これはかなり高いほうです。クリック単価の相場を調べることで、そもそも参入すべきでないことがわかったり、目標達成に対して必要な予算目安が明らかになりますので、配信前に必ず確認することをおすすめします。

4-3. 追加して問題になるキーワードはあるのか

問題に発展するケースがあるのは2つありますので、それぞれ解説します。

①競合名キーワード

自社の競合名キーワードを追加することで競合を探しているユーザーを自社サイトに送客できるため、自社の方がサービスが優れていたり、認知が取れている場合はコンバージョン獲得が見込めます。

ルール上は問題ないのですが、競合からやり方が汚いと思われたり、競合が自社名をリスティング広告で配信している場合はクリック単価の高騰に繋がるので嫌がられることも多いです。そのため業界にはよりますが、どちらかといえば弊社は推奨しません。(競合会社からに自社名の配信をやめてくださいと連絡いただくこともあります)

②商標名キーワード

競合名と近いですが、商標名の配信もその会社がリスティング広告を配信している場合は横取りのような形になってしまうため、問題になるケースがあります。ただこれは事前に確認するのが難しいので、配信後に出稿を控えるように連絡があってから停止すればよいでしょう。

またアドアフィリエイトの場合は案件に商標ワードや指定のワード出稿は控えるよう記載がありますので、確認して該当のキーワードでは配信しないようにしてください。(リスティング自体NGのこともあります)

4-4. キーワード選定や登録時に使えるおすすめのツールはあるか

紹介したラッコキーワードとキーワードプランナー以外だと以下のツールがおすすめです。1は無料で使えますが、2は有料となります。

①AG-Boost

AG-BoostはSO Technologies株式会社が開発している運用型広告の補助ツールです。無料機能でもとても便利でよく使わせていただいています。

おすすめの機能は以下2つです。

キーワード掛け合わせはメインキーワードとサブキーワードを入力することで、かけ合わせた状態を自動で作ってくれる機能です。これだけでも便利ですが、エディターでペーストできる形式にもしてくれるのが地味にありがたいです。無料の掛け合わせツールはいくつかあり、色々使ってきましたが私はこれがかゆいところに手が届く感じで一番使いやすいです。キーワードを入稿する際は使うと楽なので、ぜひ使ってみてください。

検索広告CSV変換(Google→Yahoo!)は、Google広告に入稿したアカウントデータをYahoo!広告にインポートできる形式に生成してくれるものです。両媒体に入稿するのは時間がかかりますし、Googleと比べるとYahoo!は入稿しづらいのでこの手間を大きく省いてくれる優れものです。他のツールでも同じ機能を搭載したものはありますが、ログインいらずでブラウザでそのまま使えるのがありがたいです。Googleと同じ内容でYahoo!も配信したいという場合は使うことをおすすめします。

②Ahrefs(エイチレフス)

Ahrefsは世界で60万人が導入している有料SEO分析ツールです。無料では使えず、最低月99ドルかかります。

SEOで重要になる被リンクのやドメインパワーの調査、競合サイトが上位表示しているキーワードなどを分析するのがメインの機能ですが、リスティング広告のキーワード選定でも使えます。

特におすすめなのがサイトエクスプローラーという競合サイトに流入しているキーワードを調査する機能です。ラッコキーワードでは洗い出せないワードや自分が想定できないメイン、サブワードを発見できることもあり、私は重宝しています。

ただ有料ということもあり、リスティング広告をこれから始める方が導入するのは少々オーバーかなと思います。そのため、運用して黒字達成できた or SEOやコンテンツマーケティングにも力を入れていきたいという場合は導入するとよいかと思います。詳細は割愛しますが、キーワードの検索ボリュームや関連語句を調査できたりと、ここでは紹介していない機能で役に立つものもあります。

4-5. 品質スコアが改善されず困っています。良い解決策はありますか。

結論からお伝えすると、品質スコアに重点を置いて運用すること自体がおすすめできません。

品質スコアは他の広告主と比べた広告の品質をスコアで表示する指標ですが、広告掲載や順位が決まる広告ランクの判断材料にはなっていません。よって改善したからといって必ずしもクリック単価が下がったり、掲載順位が上がるものではないです。

そればかりか品質スコアの改善を目標に運用してしまうと、的外れな施策を打ってしまい、成果が逆に落ちてしまう恐れがありますので私は非推奨です。

非常に勘違いされやすいのですが、見るべきは品質スコアではなく、広告の品質です。もっと言えばユーザーです。品質スコアとの向き合い方は下記記事で説明していますので、ぜひご覧ください。

品質スコアとは?注視して運用すべきは広告の品質である理由

まとめ

リスティング広告のキーワード選びの手順は以下の通りです。

  1. 狙うべきターゲットユーザー層を理解する
  2. 顕在層が検索する語句をメインキーワードにする
  3. 掛け合わせるサブキーワードを決める
  4. マッチタイプを設定する

キーワード=狙うユーザーとも言えるため、選定を誤ると自社商材に興味のないユーザーに広告を出してしまい、成果が出ない恐れがあります。ですので、リスティング広告の成果はキーワードで決まるといっても過言ではありません。

一番手を抜いてはいけない工程だと私は思っているので、くれぐれも適当に登録しないようにしてください。