インプレッションシェアとは、広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合のことです。インプレッションシェアと広告表示回数は比例関係にあるため、高めることでクリック数が増え、コンバージョンの増加に繋がります。
例えば「リスティング広告」というキーワードを登録すると、1ヶ月で最大10万回広告表示(インプレッション)されるとします。この状況で5万回広告表示できていたとしたら、インプレッションシェアは、5万÷10万= 50%になります。
広告が表示可能だった合計回数は上図のように3つで構成されており、それぞれを足し上げると100%になります。そのため、広告が表示されなかった割合にあたる、予算とランクの損失率を下げていくことが、インプレッションシェアの増加に繋がります。予算の損失は予算不足。ランク損失は競合より広告ランクが低いことで発生します。
指標 | 説明 |
---|---|
インプレッションシェア | 広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合 |
インプレッションシェア損失率(予算) | 予算不足が原因で広告が表示されなかった回数の割合 |
インプレッションシェア損失率(ランク) | オークションでの広告ランクが低いことが原因で広告が表示されなかった回数の割合 |
インプレッションシェアは広告表示の機会損失を減らす観点で、高い数値を目指すべきです。しかし状況に応じて取るべき施策が異なります。
この記事ではインプレッションシェアの概念や仕組みや改善のためにすべき対処法をご紹介します。少々ややこしい内容ですので、図を多く用いて視覚的にわかりやすく説明をしていきます。
リスティング広告を運用するのであれば、成果を向上させるためにも必ず理解しておくべき内容です。普段確認したことがないのであれば、大きな機会損失になってしまっている可能性もありますので、ぜひ押さえておきましょう。
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1. インプレッションシェアとは
繰り返しになりますが、インプレッションシェアは広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合のことです。インプレッションシェアと広告表示回数は下記グラフのように比例関係にあります。高めることでクリック数が増えるので、コンバージョンの増加にも繋がります。
例えば「リスティング広告」というキーワードを登録すると、1ヶ月で最大10万回広告表示されるとします。この状況で5万回広告表示できていたとしたら、インプレッションシェアは、5万÷10万=50%になります。算出式は以下の通りです。
インプレッションシェア= 表示回数 ÷ 広告が表示可能だった合計回数
インプレッションシェアは広告表示の機会損失を減らす観点で、高い数値を目指すべきです。しかし状況によって取るべき施策が異なりますので注意が必要です。対処法は後述します。
2. インプレッションシェアの構造を理解するために見るべき2つの損失率
指標 | 説明 |
---|---|
インプレッションシェア | 広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合 |
インプレッションシェア損失率(予算) | 予算不足が原因で広告が表示されなかった回数の割合 |
インプレッションシェア損失率(ランク) | オークションでの広告ランクが低いことが原因で広告が表示されなかった回数の割合 |
広告が表示可能だった合計回数は上記3つで構成されており、それぞれを足し上げると100%になります。よってインプレッションシェアを上げるには、上記の2つの損失率を解消していく必要があります。ここではこれらの2つの説明をしていきます。
2-1. インプレッションシェア損失率(予算)
予算不足が原因で広告が表示されなかった回数の割合です。
この数値が50%以上等高い場合は、機会損失が大きいと判断して問題ないでしょう。早急に改善をしてください。クリック数が確実に増やせるので、CPA及びコンバージョン数が増やせる可能性が高いです。
リスティング広告は1日あたりの予算をキャンペーン単位で設定しますが、その予算を1日の途中で使い切ってしまうと、この率が現れます。少し分かりづらいと思うので補足します。
例えば9時から18時まで配信していたとして、下図のように14時に日予算の上限に達し、広告が出なくなったとします。この場合、インプレッションシェア損失率(予算)は50%になります。予算が不足していることで本来広告表示できる半分しか広告表示できていないからですね。(説明の便宜上、インプレッションが1時間毎に均等に発生しているとするとします)
詳しい改善策は後述しますが、インプレッションシェア損失率(予算)を解消するためには、予算を追加するか、クリック単価を抑制して広告表示できる時間を伸ばす対策が必要になります。
2-2. インプレッションシェア損失率(ランク)
オークションでの広告ランクが低いことが原因で広告が表示されなかった回数の割合です。簡単にいえば、広告掲載順位が低くて、広告表示されなかった割合です。
広告ランクとは?仕組みや上げ方を300社以上運用してきた代表が解説で詳細は説明していますが、広告ランクによって広告の掲載順位は決まります。
広告ランクは主に以下4つの要素を元に算出され、コントロール可能な要素に限定すれば、入札単価と広告の品質が加点比重が高いと考えられます。
そのためこれらが競合より劣っていると、ランクが低くなり、掲載順位が下がり、インプレッションシェア損失率(ランク)の率が上がるという仕組みだと認識して大きな問題はないでしょう。私が運用している状況だと、入札単価が低いことがランク損失を増大させている要因になるケースが多いです。
要素 | 説明 |
---|---|
入札単価 | 広告のクリック1 回に対して最大でいくらまで支払ってもよいか指定したもの。自動入札戦略を利用している場合はシステムが決定。 |
広告の品質 | 広告がユーザーにとって、どれほど有用性や利便性が高いものなのを評価するための概念。 |
ユーザーが検索に至った背景 | ユーザーが入力した検索キーワード、検索時のユーザーの所在地、使用しているデバイス、検索した時刻、同じページに表示される他の広告と検索結果をはじめ、さまざまな要素が考慮される。 |
広告表示オプション(アセット)の内容 | コールアウト表示オプション、サイトリンク表示オプションなど広告表示オプションの設定有無やその内容。 |
ここで大切なことをお伝えします。広告ランクは基本改善できる限界があると考えておきましょう。なぜなら入札価格を上げすぎると、かえってインプレッションシェアが減少してしまうことがあるからです。
広告ランクは入札価格と広告の品質で優劣が大きく左右されるため、これらを引き上げることが重要です。入札価格を上げれば確実に高められますが、クリック単価も上がってしまいます。
よって予算が十分でない状態で、入札価格を上げると、配信できる時間帯が減り、上図のようにインプレッションシェア損失率(予算)が高まってしまう恐れがあります。グラフのように比例する形には現実なりませんが、推移イメージとして参考にしていただければ幸いです。
このように広告ランクを高めてインプレッションシェアを改善しているつもりが、逆に悪化させてしまうこともありますので、注意をしてください。そのためインプレッションシェア損失率(予算)の解消を優先することをおすすめします。
3. 状況別インプレッションシェアの改善方法
リスティング広告の成果状況 | インプレッションシェア改善のために実施すべき施策 |
---|---|
黒字の場合 | 予算の追加(インプレッションシェア損失率(予算)が発生している場合) |
入札価格の引き上げ | |
広告の品質の改善 | |
赤字の場合 | 入札価格の引き下げ(インプレッションシェア損失率(予算)が発生している場合) |
広告の品質の改善 |
ここからはインプレッションシェアの改善方法を状況別に説明していきます。大まかにリスティング広告の成果(CPA)が黒字か赤字どちらかで対応方法は決まりますので、それぞれ分けて説明していきます。
また自動入札戦略導入時の入札価格については、設定した目標コンバージョン単価等の値を上下して調整をしてください。値に合わせて入札価格も上下します。
3-1. 黒字の場合
リスティング広告で黒字化に成功している場合は、以下の対応で進めてみてください。
①予算の追加
まず優先してやるべきは、インプレッションシェア損失率(予算)の解消です。こちらが発生している且つCPAが許容値以下の黒字であれば予算を増やしましょう。クリック単価を上げずにクリック数を増やせるはずので、CVは追加予算と比例して伸びていくはずです。
増やすべき予算の計算はあくまで現状からの類推ですが、これから説明する手順で行ってみてください。インプレッションシェア損失率(予算)を0%にするのに必要な追加予算を試算できます。
下記を数値例として進めていきます。
・表示回数:10,000 ・クリック数:1,000 ・クリック率:10% ・クリック単価:100円 ・コスト:100,000円 ・インプレッションシェア:50% ・インプレッションシェア損失率(予算):40% ・インプレッションシェア損失率(ランク):10% |
- インプレッションシェア1%に当たる表示回数を計算する
表示回数 ÷ インプレッションシェアを行い、インプレッションシェア1%に当たる表示回数を計算します。今回だと10,000 ÷ 50 = 2,000 になります。
- インプレッションシェア損失率(予算)の割合と1で出した数値を掛け算して、0%になったときに増える表示回数を計算する
インプレッションシェア損失率(予算)の割合 × 1の数値を行い、予算による損失が0%になった時に増える表示回数を計算します。今回だと50 × 2.000 = 10,000 になります。
- 2の数値とクリック率、クリック単価を掛け算して、必要な予算を計算する
今回だと10,000 × 10% × 100 = 100,000円 がインプレッションシェア損失率(予算)を0%にするのに追加で必要な予算になります。
②入札価格の引き上げ
こちらはインプレッションシェア損失率(ランク)の解消が目的になります。確実かつ即効性のある入札の引き上げから対応していきましょう。
いくらあげるべきかは競合状況や現在の入札価格設定によるので一概には言えません。20%引き上げてランクの損失を確認。次は30%上げてみる。といったように検証を行いながら、少しずつ上げることをおすすめします。ただ50%以上ランク損失が発生している等、多い場合は大きく引き上げる必要があるはずです。
少々眉唾物ですが、目標コンバージョン単価等、自動入札を設定している場合は、一度に変更する最大の率は15%までにするとよいです。Googleの担当者がこれ以上一度に変更すると機械学習がリセットされると言ってました。個別入札の場合はいくらでも上げて結構です。ただ早く大きく上げる必要がある場合はこの限りではありません。
繰り返しになりますが、入札価格を上げすぎると予算の損失率が発生する恐れがあるため、上げすぎには注意をしてください。
インプレッションシェアの損失率(予算)は0%を基本的に目指すべきです。しかし意図的に広告を上位表示させ、コンバージョン率を引き上げたい目的がある場合はこの限りではありません。
例えば、緊急度の高い商材(給湯器の交換、鍵交換、葬儀等)であれば、この事象に当てはまります。なぜなら上部表示されている広告をクリックするユーザーのコンバージョン率が高いからです。
よって、入札価格を高めに設定して、インプレッションシェアの損失率(予算)が発生し、本来獲得できるクリック数より少なくなったとしても、上部に広告表示されているため、コンバージョン率が上がり、結果コンバージョンが多く獲得できるということもあります。
この例のように下部の広告をクリックするユーザーは、モチベーションが低めだと類推できる商材もあります。そのため商材のターゲットユーザーの心理に合わせて、入札価格を設定するようにしましょう。
③広告の品質の改善
こちらもインプレッションシェア損失率(ランク)の解消が目的になります。
広告の品質も広告ランクを決める重要な要素ですが、ヘルプをご覧頂くとわかる通り、ブラックボックスな部分が多く、改善を促せば確実良化するものでもありません。そのため黒字ということもあり、入札価格の引き上げを優先してやるべき施策として紹介しています。
品質スコアとは?注視して運用すべきは広告の品質である理由の記事で、広告の品質の目安指標である品質スコアと合わせて改善方法を説明していますので、詳細はこちらをご覧ください。
簡潔に言えば、検索語句のニーズに対して広告とLPで適切な価値が提供できていれば高くなると理解して差し支えないでしょう。
3-2. 赤字の場合
リスティング広告でCPAが合わず、赤字になっている場合は以下の対応で進めてみてください。広告の品質の改善については、黒字の場合と対処法は同様ですので割愛します。
①入札価格の引き下げ
黒字の状況と同じく、優先してやるべきはインプレッションシェア損失率(予算)の解消です。ただ予算を追加はせず、入札価格を引き下げることで改善をしていきます。理屈が少しわかりづらいので具体例を交えつつ図解しながら説明します。
まず要点だけお伝えすると、赤字の状態で予算による損失率が大きい場合は、日予算に対してクリック単価(入札価格)が高すぎるので下げるべき。と捉えて大きな問題はないです。
下げる額は競合状況によるのでこちらも一概には言えません。あくまで例ですが、20%下げて予算の損失率を確認。あまり変化がなければもっと下げるといった形で徐々に下げていくことをおすすめします。
上図はインプレッションシェアの損失率(予算)が50.09%発生している状態の時の数値例です。インプレッションが1時間毎に均等に発生しているとすると、配信期間の半ばで予算を使い切ってしまい、広告表示されなくなっています。
例えば9時から18時まで配信していたとすると、下図のように14時から日予算の上限に達し、広告が出なくなっています。
配信できる時間を伸ばれせばインプレッションが増えるので、クリック数も増えます。よって取るべき方法はクリック単価を下げて、現状の予算で配信できる時間を伸ばすか、日予算を増やすかです。
黒字の場合は予算を追加すれば良いですが、赤字の状態で実行すると損失を増やすことになります。よってクリック単価を下げて現状の予算で配信できる時間を伸ばし、目一杯クリック数を増やしましょう。
この状況下で入札価格を半分下げてインプレッションシェアの損失率(予算)が0%になったとしたら、以下のように予算を増やさずにコンバージョンが2倍に増えることもあります。
繰り返しになりますが、これはまずは赤字の状況に限った話です。黒字化しており、売上や利益を上げる観点で言えば、入札を下げず予算を増やすべきですので勘違いしないようにしておきましょう。
4. インプレッションシェアに関してよく頂く質問とその回答
最後にインプレッションシェアに関して教育した部下やお客様からよく頂く質問とその回答を紹介します。細かい疑問点の解消に繋がれば幸いです。
4-1. インプレッションシェアはどうやったら見れますか
媒体別で説明します。
①Google広告
管理画面の表示項目からインプレッションシェアの指標を追加すれば見れます。キャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位などコンポーネント単位で確認できます。
表示されていない場合は表示項目をクリックし、表示項目を変更→競合指標の中から検索広告のインプレッションシェアを選び、適用を押せば完了です。
②Yahoo!広告
Googleと見方は同じです。管理画面の表示項目からインプレッションシェアの指標を追加すれば見れます。
表示されていない場合は表示項目をクリックし、表示項目を編集→インプレッションシェアの中からインプレッションシェアを選び、適用を押せば完了です。
4-2. 「検索広告のページ最上部インプレッション シェア」と「検索広告のページ上部インプレッション シェア」という指標がありますが、違いはなんでしょうか
簡潔に言えば、1番上に表示された割合と、上部に表示された割合の違いです。Yahoo!広告のヘルプの画像がわかりやすいので引用してご紹介します。
このような違いがあるため、最上部に広告掲載できた割合を見たい場合は、ページ最上部インプレッション シェア。上部に広告掲載できた割合を見たい場合は、ページ上部インプレッション シェアを見る。という形で使い分けてみてください。
4-3. 競合広告主のインプレッションシェアは見れますか
見れます。Google広告はオークション分析。Yahoo!広告はオークションインサイトという機能を使いましょう。大きな調整をしていないのにインプレッションが大きく減少した時は確認をおすすめします。
こちらも媒体別に見方を説明します。
①Google広告
分析情報とレポートの中にオークション分析がありますので、クリックすると自社と競合のインプレッションシェアが確認できます。
②Yahoo!広告
見たいキャンペーンや広告グループにチェックを入れた状態で、オークションインサイトを表示をクリックします。複数選択も可能です。
すると該当のコンポーネントの競合のインプレッションシェアが確認できます。
4-4. 目指すインプレッションシェアの目安や平均はありますか
具体的な数値はありませんが、可能な限り高い数値を目指しましょう。ベストはもちろん100%ですが、予算には限りがありますし競合の数も違いますので、一概にこのくらいの数値を目指すべき!というものはないです。
強いて具体的に言うのであれば、基本的にインプレッションシェア損失率(予算)は0%に近い数値になるように、入札価格の調整することをおすすめします。予算内で最大限クリック数を増やすことが、CPAの抑制に繋がることが多いからです。
4-5. ディスプレイ広告にもインプレッションシェアの概念はありますか
あります。考え方や管理画面での見方は検索広告と同じです。ディスプレイ広告の広告表示もオークションで決まっているため、広告ランクが低ければ表示機会が少なくなります。参考:Google広告ヘルプ ディスプレイ ネットワークの広告オークションについて
まとめ
インプレッションシェアとは、広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合のことです。インプレッションシェアと広告表示回数は比例関係にあるため、高めることでクリック数が増え、コンバージョンの増加に繋がります。
改善方法は成果状況によって異なるため、以下表と照らし合わせて実施施策を選択していきましょう。
リスティング広告の成果状況 | インプレッションシェア改善のために実施すべき施策 |
---|---|
黒字の場合 | 予算の追加(インプレッションシェア損失率(予算)が発生している場合) |
入札価格の引き上げ | |
広告の品質の改善 | |
赤字の場合 | 入札価格の引き下げ(インプレッションシェア損失率(予算)が発生している場合) |
広告の品質の改善 |
少々ややこしい内容ですが、リスティング広告を運用するのであれば絶対に頭に入れておくべき内容です。普段あまり確認したことがないのであれば、大きな機会損失になってしまっている可能性もありますので、ぜひ押さえておきましょう。