フレーズ一致とはキーワードと同じ意味の検索語句に対して広告表示できるキーワードの種類です。絞り込みが強すぎず弱すぎないため、使いやすく採用することが多いです。

特定の検索語句周辺のワードを狙い撃ちできるメリットがあるため、コンバージョンが見込めると判断できるキーワードは設定することをおすすめします。運用上使用しないことはほぼないといっても過言ではないほど、重要なマッチタイプです。

また、昔は語順の違いや、同じ意味合いの言葉には反応しなかったのですが、2021年2月からシステムが優秀になったことでこのような語句でも反応するようになりました。この記事を執筆しているのは2022年の10月ですが、他の古い記事だと昔の情報が記載されているため注意が必要です。

この記事ではフレーズ一致の使い方やどのような場合に追加するべきかを説明していきます。理解が曖昧な方はぜひご覧ください。

1. フレーズ一致とは同じ意味の検索語句に広告表示できるキーワードの種類のこと

フレーズ一致

改めてですが、フレーズ一致はキーワードと同じ意味の検索語句に対して広告表示できるキーワードの種類のことです。文言に差があっても、同じ意味だと解釈できる場合は同じと見なされます。そのため、語順が逆、表記ゆれがあっても表示されます。

例えば、「靴 通販」というワードをフレーズ一致登録したとすると、以下の検索語句パターンで表示されます。必ずしもこの挙動にはなりませんが、イメージとして参考にしてください。

分類広告表示する検索語句( 設定キーワード:靴 通販)
同じ意味合いの言葉靴 購入、靴を買いたい、おすすめの靴屋

特定の検索語句周辺のワードを狙い撃ちできるメリットがあるため、コンバージョンが見込めると判断できるキーワードは設定することをおすすめします。

また、フレーズ一致以外のキーワードの種類は下図の通り 完全一致と部分一致の2つが存在しますので、違いを軽く説明します。この3種類の分類をマッチタイプといいますので、知らなかった方はこれを機に覚えておきましょう。

Google広告ヘルプのマッチタイプ説明
キーワードのマッチタイプ/引用Google公式ヘルプ

1-1. フレーズ一致と完全一致の違い

一言でいえば、完全一致の方が広告表示できる検索語句が狭い違いがあります。

完全一致は「全く同じ意味」の検索語句に反応するのに対して、フレーズ一致は「同じ意味を持つ」検索語句に対して広告表示します。

例えば「靴 通販」を完全一致で追加すると、「靴 通販」「通販 靴」「靴 取り寄せ」といったインターネットで購買したいキーワードだけに反応するようなイメージです。フレーズ一致は「靴を買いたい」などインターネット以外でも購買したいワードであれば反応するでしょう。(あくまでイメージですので、実際の挙動は異なる場合がございます)

特定の検索語句だけに表示できるのが特長のマッチタイプですので、表示対象を拡張させたくない場合は完全一致も使用しましょう。

完全一致は下記の記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
完全一致で反応するキーワードと成果を上げるために追加すべき状況

1-2. フレーズ一致と部分一致の違い

同じく広告表示できる検索語句が広い違いがあり、フレーズ一致よりも部分一致のほうが拡張範囲が広いです。

部分一致は設定したキーワードと関連した語句や類語にも広告表示されます。設定される入札価格によって拡張範囲は異なりますが、例えば靴 通販のキーワードを部分一致で登録すると

スニーカー 通販、ブーツ 通販、ローファー 通販

など靴 通販と関連のある語句にも表示します。幅広い検索語句をカバーできるマッチタイプですが、拡張範囲が広いが故にコンバージョンに繋がらない語句からのクリックを誘発してしまうことも多いので、使い方には注意が必要です。

部分一致は下記の記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
部分一致で反応する検索語句と成果を上げるために気をつけるべきこと

2. アップデート後のフレーズ一致の挙動の変化

フレーズ一致で反応する検索語句の説明は以上です。
ここからは2021年2月のアップデートにより、フレーズ一致の挙動がどのように変更されたかを説明していきます。

変更後も含めて説明いたしましたが、この月を境にフレーズ一致の表示範囲が大きく変わりましたので、切り出して詳しく解説します。

過去に運用されていたアカウントを引き継ぐ、キーワードに+マークがついているアカウントを運用しているなど、昔の状況も知る必要がある場合はこちらも合わせてご覧ください。

Google公式ヘルプの原文はこちらからご覧いただけます。

2-1. 拡張範囲が広がった

前の拡張範囲は送り仮名違いや漢字違いといった表記ゆれまで反応する程度でしたが、同じ意味合いの語句でもこのアップデートで表示されるようになっています。

ですので、このアップデート前は冒頭で説明した以下のような言葉には反応せず、語順まで含めて、同じ検索語句しか反応しない仕様でした。(途中に別の単語が入っている場合は表示されます)

分類広告表示する検索語句( 設定キーワード:靴 通販)
同じ意味合いの言葉靴 購入、靴を買いたい、おすすめの靴屋

2-2. 語順が逆でも表示される

少し触れていますが、キーワードと異なる語順でも表示されるようになりました。「靴 通販」のキーワードであれば、「通販 靴」の検索語句でも表示されます。

そのため既に廃止されていますが、絞り込み部分一致(キーワードの前後に+がついており、部分一致登録されていればこれです)という語順関係なく表示できるマッチタイプを導入するか、逆順まで登録する必要がありました。

昔の記事に絞り込み部分一致という言葉が出てきたときは、フレーズ一致の挙動が変わる前の話なんだなと考えるようにしましょう。

3. フレーズ一致を登録すべきか判断するための基準

ここからはフレーズ一致の登録を決める際の判断基準を紹介します。
結論から言うと

  • 購買を検討しているユーザーが検索するキーワードを登録する場合
  • コンバージョンの獲得できるキーワードを拡張させる場合

の2つの場合にフレーズ一致を登録するとよいでしょう。詳細を説明していきます。

3-1. 購買を検討しているユーザーが検索するキーワードを登録する場合

簡単にいうと、サービスに申し込む気のある人が検索するキーワードです。いわゆる下図中段の顕在層が検索する、商品やサービスのニーズが明確になっているキーワードを登録する場合はフレーズ一致を登録しましょう。

ターゲット層

商材によって異なるため一概にこれとは言えないのですが、こんな説明だと抽象的すぎてわかりづらいかと思いますので、3つの商材を元にキーワードの例を記載しました。自社の商材だとどんなキーワードになるかを見ながら確認してみてください。

商材例おすすめ系購買系地域系費用系
注文住宅注文住宅 おすすめ注文住宅 一宮注文住宅 費用
EC商品名 ランキング商品名 通販 or 取り寄せ商品名 安い
パーソナルジムパーソナルジム おすすめパーソナルジム 一宮パーソナルジム 安い

3-2. コンバージョンの獲得できるキーワードを拡張させる場合

運用中、更にコンバージョンを増やしていく際もフレーズ一致は活用できます。フレーズ一致は同じ意味合いの語句に反応しますので、コンバージョンが取れた検索語句をフレーズ一致で追加することで、コンバージョン獲得見込みの高い周辺の検索語句への広告表示量増加が期待できます。

フレーズ一致の拡張

地味な取り組みに見えますが、こういった細かい拡張・抑制の対応を行うことがコンバージョン獲得増加に繋がります。コンバージョンの獲得できるキーワードをフレーズ一致で増やしていくのは鉄板ですので、ぜひ覚えておいてください。

掛け合わせなしの単一ワードをフレーズ一致登録するときは拡張範囲に注意が必要

掛け合わせのない単一キーワードをフレーズ一致登録すると、潜在顧客が検索するワードまで拡張してしまいコンバージョン単価が悪化する可能性があるため注意が必要です。なぜなら単一ワードのフレーズ一致は拡張性が高いからです。キーワードの拡張の大きさは、簡単に言うと掛け合わせの数で決まり、掛け合わせが多ければ狭く、少なければ広くなります。

例えば注文住宅というワードをフレーズ一致登録すると、注文住宅と同じ意味の検索語句全てに反応をするようになります。よって「注文住宅とは」「注文住宅 ブログ」など情報収集段階のユーザーからのクリックが多くなる恐れがあります。(自動入札戦略を導入している場合は多少落ち着くかと思いますが)

ですので、運用に慣れていない方は単一ワードのフレーズ一致登録は自社サービス名だけにする。など拡張してもコンバージョン単価に支障をきたさない範囲に留めておくと安心です。

4. フレーズ一致の設定方法

次はフレーズ一致の設定方法を説明します。Yahoo!広告とGoogle広告ごとに管理画面とエディターで設定する方法を解説します。これから広告運用を始める方はまずは管理画面での設定方法を覚えましょう。エディターは簡単に説明すると、入稿に特化したソフトウェアです。

複数の広告グループにキーワードを何十個と登録する場合はエディターが早いかと思いますので、管理画面の操作に慣れてきたら状況に応じて使い分けてみてください。数個設定するのであれば管理画面からの対応で問題はないです。

下記から無料ダウンロードできます。
・Yahoo!検索広告キャンペーンエディター
・Google広告キャンペーンエディター

4-1. Yahoo!広告

①管理画面

Yahoo!広告の完全一致の追加方法
  1. フレーズ一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. キーワードのボタンをクリックする
  3. キーワードを入力する
  4. 枠で囲ったマッチタイプの設定をフレーズ一致にする
  5. 設定をクリック

②エディター

Yahoo!広告エディターの完全一致の追加方法
  1. フレーズ一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. キーワードをセル内に入力する
  3. マッチタイプをクリックしてフレーズ一致に設定する
  4. データのアップロードをする

4-2. Google広告

①管理画面

Google広告の完全一致の追加方法
  1. フレーズ一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. キーワードの検索キーワードをクリックする
  3. キーワードを入力する
  4. 左右の端に””を入力する
  5. 保存をクリック

Yahoo!と異なり、””の記号をキーワードの左右に入力する必要があるので注意をしてください。これが抜けると部分一致での登録になってしまいます。

②エディター

Google広告エディターの完全一致の追加方法
  1. フレーズ一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. 左下のキーワードをクリックする
  3. 上段の+キーワードを追加のボタンをクリックする
  4. キーワードを入力する
  5. 赤枠をクリックしてフレーズ一致に設定する
  6. 送信をクリック

エディターの場合は管理画面のように””の記号を入れる必要はありません。

5. フレーズ一致に関して知っておいてほしいこと

最後にフレーズ一致に関して知っておいてほしい細かい内容をお伝えしていきます。

5-1. 除外キーワードをフレーズ一致登録したときの挙動は異なる

配信するキーワードとして登録するフレーズ一致と除外キーワードに登録するフレーズ一致は挙動が異なります。一言で言えば、除外キーワードのフレーズ一致は全く拡張せず、語順通りの語句が含まれている場合除外します。

詳しく説明すると

  • 語順が同じで該当語句が含まれていれば除外される(逆順だと除外されない)
  • 同じ意味合いの検索語句は除外されない(拡張しない)
  • 表記ゆれは除外されない

といったように反応します。特に語順が違うと除外されないという点は勘違いされがちなので注意しまましょう。語順関係なく該当語句が含まれていれば除外したい場合は部分一致で除外をすればOKです。

除外キーワードについては下記の記事で詳しく確認できます。
除外キーワードとは?効果の出る選び方と設定方法から理解すべき仕様

まとめ

フレーズ一致はキーワードと同じ意味の検索語句に対して広告表示できるキーワードの種類のことです。文言に差があっても、同じ意味だと解釈できる場合は同じと見なされます。そのため、語順が逆、表記ゆれがあっても表示されます。

例えば、「靴 通販」というワードをフレーズ一致登録したとすると、以下の検索語句パターンで表示されます。

分類広告表示する検索語句( 設定キーワード:靴 通販)
同じ意味合いの言葉靴 購入、靴を買いたい、おすすめの靴屋

特定の検索語句周辺のワードを狙い撃ちできるメリットがあるため、コンバージョンが見込めると判断できるキーワードは設定することをおすすめします。