リスティング広告はクリックされた時だけ費用がかかるシステムになっています。1回のクリックにかかる費用をクリック単価(CPC)と呼びます。金額はキーワードによって異なります。端的に言えば、多くの広告主が上位表示させたいキーワードほど高くなります。
上記はキーワードプランナーというツールで調べた、キーワードごとの推定クリック単価一例です。「薬剤師 転職」のような、儲かる競合性の高いキーワードは高く、反対に「りんご 通販」のような競合性が低いものは低いことがわかります。
この記事ではリスティング広告のクリック単価の調べ方と効果的な下げ方を解説します。
クリック単価は下げられるように広告運用することが成果を上げる上で重要です。しかし下げることだけを目的にして対応すると、かえって売上が下がってしまう恐れがあるので注意が必要です。そのため売上を上げつつ、クリック単価を下げるベストな方法も含めてご紹介します。
オンジンではこの記事を執筆した、10年近く業界歴のある代表がリスティング広告運用代行を行っています。相場価格で腕の立つ運用者に依頼できますのでお気軽にご相談ください。⇒会社サービス紹介資料を見る(無料)
1. リスティング広告のクリック単価相場はキーワードプランナーを使って調べよう
まずクリック単価の調べ方から説明します。方法は色々ありますが、Googleが提供している「キーワードプランナー」というツールだと無料で確認でき、精度も悪くないためおすすめです。手順は以下の通りです。
- Google広告(キーワードプランナー)にログインする
- 検索のボリュームと予測のデータを確認する をクリック
- クリック単価相場を調べたいキーワードを入力して、開始するボタンをクリック
- 該当キーワードのクリック単価相場が表示される
操作は難しくないのでどなたでも対応できるはずです。ただパソコンでの操作が必要になるので、面倒であれば弊社のような代理店に依頼しましょう。調べてくれるはずです。弊社は無料でお調べしていますので、お気軽にお申し付けくださいませ。
では手順を1つずつ説明していきます。
1-1. Google広告(キーワードプランナー)にログインする
キーワードプランナーのTOPページから「キーワードプランナーを使ってみる」をクリックしてください。Googleアカウントを持っていない場合は作成して、ログインしてください。Google広告の管理画面に入れている場合は下記キャプチャの赤枠をクリックしましょう。
1-2. 検索のボリュームと予測のデータを確認する をクリック
次は「検索のボリュームと予測のデータを確認する」をクリックしてください。左側の新しいキーワードを見つけるは、登録するキーワードを調査する際に使用する機能です。
1-3. クリック単価相場を調べたいキーワードを入力して、開始するボタンをクリック
キーワードを入力できるボックスが表示されるので、クリック単価相場を調べたいキーワードを入力します。エンターキーで区切れば複数のキーワードを同時に調べられます。入力できたら、開始するボタンをクリックします。
1-4. 該当キーワードのクリック単価相場が表示される
すると、入力したキーワードのクリック単価相場が表示されます。見るところは2つですが、高い場合は高額帯の金額位のクリック単価になると認識しておけばよいでしょう。それぞれの指標のヘルプページの説明は以下の通りです。
指標 | 説明 |
---|---|
ページ上部に掲載された広告の入札単価(低額帯) | 過去に対象のキーワードでページ上部に広告を表示した広告主様の単価実績の中で、低い範囲の入札単価(第 20 百分位数の近似値)が示されます。このデータは、お客様が指定した地域と検索ネットワークの設定に基づきます。 |
ページ上部に掲載された広告の入札単価(高額帯) | 過去に対象のキーワードでページ上部に広告を表示した広告主様の単価実績の中で、高い範囲の入札単価(第 80 百分位数の近似値)が示されます。このデータは、お客様が指定した地域と検索ネットワークの設定に基づきます。 |
クリック単価相場の調べ方は以上です。キーワードプランナーは過去実績を参照しているので、実際のクリック単価はもっと低い場合もありますし、高いこともあります。あくまで目安として見ておきましょう。
2. リスティング広告のクリック単価が決まる仕組み
ここからはリスティング広告のクリック単価が決まる仕組みを説明していきます。これを理解しておかないと、次から解説するクリック単価の下げ方の対処法が腹落ちしにくいはずです。
簡潔に言えば、クリック単価は多くの広告主(広告を出す人)が上位表示させたい儲かるキーワードほど高くなる仕組みになっています。この理由をリスティング広告が表示される仕組みに沿って説明していきます。
2-1. 広告主が管理画面で広告表示対象とするキーワード・広告を登録する
まず広告主がリスティング広告の管理画面でキーワードと広告文を設定します。すると次行われる広告オークションに参加する形になります。
2-2. 検索と同時に広告がオークションにかけられる
登録されたキーワードに反応する語句が検索されると、広告がオークションにかけられます。勘違いされやすいのですが、キーワードではなく広告がオークションの対象です。
オークションの結果によって、広告をどの位置に表示するかが決まります。これを決めるものが広告ランクです。広告ランクとはどの広告をどの位置に表示するかを決める数値です。ランクが高い広告主順に上位の広告枠が割り当てられます。
広告ランクはおおまかに検索時点での以下のポイントに合わせて毎回変動します。(これが全てではありません)
要素 | 説明 |
---|---|
入札単価 | 広告のクリック1 回に対して最大でいくらまで支払ってもよいか指定したもの。自動入札戦略を利用している場合はシステムが決定。 |
広告の品質 | 広告がユーザーにとって、どれほど有用性や利便性が高いものなのを評価するための概念。 |
ユーザーが検索に至った背景 | ユーザーが入力した検索キーワード、検索時のユーザーの所在地、使用しているデバイス、検索した時刻、同じページに表示される他の広告と検索結果をはじめ、さまざまな要素が考慮される。 |
広告表示オプション(アセット)の内容 | コールアウト表示オプション、サイトリンク表示オプションなど広告表示オプションの設定有無やその内容。 |
この中で加点比重の高い要素はGoogleの情報から推察するに、入札単価と広告の品質となっています。これを踏まえて、広告ランクの算出は下記のような数式で決まると考えて大きな問題はないです。
広告ランク = 入札単価 × 広告の品質
勘違いされがちですが、公式で広告ランクの計算式は公開されていません。そのためあくまで理解を深めるためのイメージとして捉えてください。実際にGoogleの担当者に確認して、解釈するために使う分には大きな相違はないため問題ないと話していましたので、私だけの意見ではありません。
詳細は広告ランクとは?仕組みや上げ方を300社以上運用してきた代表が解説で説明していますので、ぜひご覧ください。
2-3. 算出された広告ランクに応じてクリック単価が決まる
広告主 | 入札価格 | 広告の品質 | 広告ランク | 広告掲載順位 | 順位が1つ下の広告主を上回る最低広告ランク | 推定クリック単価:順位が1つ下の広告主を上回る最低広告ランク ÷ 広告の品質 |
---|---|---|---|---|---|---|
株式会社A | 300円 | 6 | 1,800 | 2位 | 1,001 | 166.8円 |
株式会社B | 200円 | 10 | 2,000 | 1位 | 1,801 | 180.1円 |
株式会社C | 500円 | 2 | 1,000 | 3位 | 901 | 450.5円 |
株式会社D | 100円 | 9 | 900 | 4位 | 801 | 89.0円 |
株式会社E | 200円 | 4 | 800 | 圏外 | – | – |
そして広告ランクに応じて、掲載順位とクリック単価が決まります。クリック単価は掲載順位が 1 つ下の競合他社の広告ランクを上回るために最低限必要な金額になります。
実際は決定要素が複数あるためもっと複雑且つ、数式も公式では発表されていません。ヘルプページを元にして、私が解釈した及びシンプル化したものとなりますが、「順位が1つ下の広告主を上回る最低広告ランク ÷ 広告の品質」で大まかなクリック単価は決まると判断して大きな問題はないでしょう。
このような仕組みでクリック単価は決まります。仕組みの説明で皆さんにお伝えしたいことは以下3つです。
- 入札価格でベースのクリック単価が決まる。
- 大きく儲かる商材であれば高い金額で入札をされるため、クリック単価も高くなる。
- 広告の品質が低いと、入札価格が高くても掲載順位は上がりづらく、クリック単価も高くなる(表内の株式会社Cの例を見ると、よくわかると思います)
わかりやすくするため、かいつまんで解説しましたが、より詳細にクリック単価の決まり方を知りたい場合はGoogle広告公式ヘルプをご覧ください。
これを踏まえて次のクリック単価の下げ方を見ていきましょう。
3. リスティング広告のクリック単価の下げ方
優先度 | 対応内容 |
---|---|
高 | 広告の品質を改善する |
広告表示オプションを漏れなく設定する | |
低 | 入札価格を下げる(緊急度が高い場合は優先度高) |
クリック単価の高いキーワードの停止 | |
競合広告主が多いエリアの配信カット |
ここからはリスティング広告のクリック単価の下げ方を解説していきます。大まかな方法は上記の4つです。
先にお伝えすると、「入札価格を下げる」が確実且つ即効性がありますので、とにかく早くクリック単価を下げたいのであれば、まず着手をしてください。しかし広告掲載順位が下がるため、確保できるクリック数が減少し、コンバージョン数も減る恐れがあります。この点のみ注意が必要です。
では優先度別に1つずつ対応内容を説明します。少々ややこしい話も多いですが、大事な内容ですのでしっかり理解しておきましょう。
3-1. 広告の品質を改善する
最も理想は広告の品質を改善し、広告ランクを上げて、クリック単価の抑制を促すことです。
広告ランクは「入札単価 × 広告の品質」 の式でおおまかに計算できます。見てわかる通り、広告の品質は広告ランクを決定する重要な指標です。入札単価が低くても広告ランクが高ければ、上部に広告表示できますし、クリック単価も低くなるといいことしかありません。高くできる意識を常に持ちましょう。
広告の品質とは、広告がユーザーにとって、どれほど有用性や利便性が高いものなのかを評価するための概念です。構成要素は全て公開されていませんが、Google公式ヘルプページを見ると、以下は関係していると記載があります。
- 検索内容に対する広告文の関連性
- ユーザーが広告をクリックする可能性の高さ
- ランディング ページへ進んだユーザーに提供されるエクスペリエンスの質
簡単に言えば、検索語句のニーズに対して広告とLPで適切な価値提供をすれば高くなると理解して差し支えないでしょう。そのため、検索された語句に対して、求められている価値を広告文で伝える。LPは探している情報が見つけやすいよう設計をするべきです。
例えば「個室居酒屋 名古屋」と検索された場合であれば、広告文に名古屋の個室居酒屋が探せることを明記する。リンク先のランディングページは店の種類が豊富且つ、予算や料理ジャンル等店で探す際によくする絞り込み検索ができる情報サイトであれば、広告の品質は高くなると考えられます。
注意点としては広告の品質の優劣は管理画面で確認できないということです。そのため、他の広告主と比べた広告の品質を大まかにスコア表示する「品質スコア」を参考にするとよいでしょう。該当のキーワードを検索しているユーザーにとって、広告とランディングページが、他の広告主と比べてどれだけ的確で有用であるかを判断する参考になります。
ただこれまたややこしいのですが、品質スコアを注視しすぎる運用はおすすめできません。品質スコアは広告の品質の一部のため、改善することで広告ランクの改善に繋がる可能性があります。しかし、品質スコア = 広告の品質ではないため、品質スコアの改善が目標になってしまうと、的外れな施策を打ってしまう恐れがあるためです。よって参考程度に留めておくべきです。
詳細は品質スコアとは?注視して運用すべきは広告の品質である理由をご覧ください。長年リスティング広告運用している方でも誤って理解されていることも少なくないので、ややこしい話ですが、ぜひ仕組みを理解しておきましょう。
3-2. 広告表示オプションを漏れなく設定する
広告表示オプションの設定有無も広告ランクの優劣を左右します。そのため、設定できるものは原則可能な限りすることを推奨します。広告表示オプションは広告と一緒に、テキストリンクや電話番号を表示できるオプション機能のことです。
広告表示オプションは以下のような種類があります。大体どんな商材でも設定できると考えられるオプションは設定のしやすさに★をつけていますので、迷うようでしたらこれらを優先して設定してみましょう。Yahoo!はこれより少し少ないですが概ね同じです。
広告表示オプションの種類 | 説明 | 設定のしやすさ |
---|---|---|
サイトリンク表示オプション | ランディングページ以外のリンク先を複数設定 | ★ |
コールアウト表示オプション | 商品やサービスの強みをテキストで表示 | ★ |
構造化スニペット表示オプション | 商品やサービスのラインナップを追加 | ★ |
画像表示オプション | 広告の横に画像を表示する | ★ |
電話番号表示オプション | タップすると架電できる電話番号を表示 | ★ |
住所表示オプション | 店舗住所を表示 | ★ |
価格表示オプション | 商品の価格を表示 | ★ |
ビジネスの名前 | ブランドや会社名を表示 | ★ |
ビジネスのロゴ | ブランドや会社のロゴを表示 | ★ |
リードフォーム表示オプション | リンク先に遷移させずリードフォームを掲載する | |
アプリリンク表示オプション | アプリのダウンロードリンクを表示 | |
プロモーション表示オプション | セールやプロモーション情報を表示 | |
販売者評価表示オプション | 口コミを表示 | |
メッセージ表示オプション | メッセージでの問い合わせを促す | |
アフィリエイト住所表示オプション | 商品を販売している最寄りの店舗住所を表示 |
3-3. 入札価格を下げる
クリック単価抑制に確実且つ即効性がある方法です。とにかく早くクリック単価を下げたいのであれば、まず着手をしてください。個別クリック単価であれば入札価格を下げる。目標コンバージョン単価などの自動入札であれば、設定値を下げれば入札も下がりますので、このように対応をしましょう。
しかし広告掲載順位が下がるため、確保できるクリック数が減少し、コンバージョン数も減る恐れがあります。よって状況によりますが、ベストな方法ではないことも多いです。
シチュエーション別に着手優先度を紹介します。これら以外の状況で実施を検討しているのであれば、コンバージョン率の改善をして、コンバージョンを増やせないか熟考した上で着手することをおすすめします。コンバージョン数が減り、売上が頭打ちになってしまう恐れがあります。
①優先度高:CPAが合わず赤字になっているためとにかく早急に抑制したい
損益分岐点である限界CPAを遥かに超えており、早急に黒字化する必要がある場合は、すぐ入札価格を下げてください。特にキャッシュに余裕がない場合はこの方針を取りましょう。
厳密に言えば状況によりますが、売上を上げる観点だとベストな方法ではないことも多いです。しかし、赤字を出し続けられる余裕がなければ早急にCPAを合わせる必要があるはずです。
現在のコンバージョン率と照らし合わせながら、限界CPA以下に着地できるクリック単価になるよう入札を抑制しましょう。推奨クリック単価の計算方法は4章で解説しますので、そちらをご覧ください。
②優先度中:インプレッションシェアの損失率(予算)が発生している
あくまで目安ですが、インプレッションシェアの損失率(予算)の数値が30%以上など、一定数発生している場合は原則入札価格を下げましょう。ただ黒字化しているのであれば、入札を下げずに予算を増やすべきですが、一旦この考えは横に置いておき、説明を続けます。
インプレッションシェアの損失率(予算)とは簡単に言うと、予算不足で広告が表示できていない割合を示すものです。
上記の例であれば、全体で50.94%が予算不足で広告表示できていないです。ちなみにこの状態は伸びしろがあり、非常にもったいない状態です。真っ先にテコ入れすべきでしょう。
この数値が大きい = 日予算に対してクリック単価(入札価格)が高すぎるので下げるべき。と捉えて大きな問題はないです。わかりづらいと思いますので、別記事で図を使いながら例を交えつつ何が起こっているか解説します。大事な考えですので、しっかり運用していきたい場合は確認して絶対に押さえてください。
結論だけお伝えすると、この状況下で入札価格を半分下げてインプレッションシェアの損失率(予算)が0%になったとしたら、上図のように予算を増やさずにコンバージョンが2倍に増えることもあります。
繰り返しになりますが、これはまずは広告費を上げずにコンバージョンをできる限り増やしたい状況に限った話です。利益を上げる観点で言えば、黒字化しているのであれば、入札を下げず予算を増やすべきですので注意してください。
3-4. クリック単価の高いキーワードの停止
クリック単価が高いキーワードを停止すればクリック単価は下がります。単純にクリック単価を下げたいだけであれば、このように対応しましょう。ただ実際は売上(コンバージョン)を増やす、クリック数(流入)を増やす。など配信目的があるはずですので、そこから逆算して対応を決めるのがポイントです。
コンバージョンを増やすことが目的であれば、コンバージョン率も低く、コンバージョン単価が合っていないものがあれば停止をしましょう。ただ以下例のようにクリック単価が高くてもコンバージョン率が高ければ問題ない場合もあるので、クリック単価だけ見て停止しないようにしてください。
- クリック単価100円 ÷ コンバージョン率1% = CPA 1万円
- クリック単価300円 ÷ コンバージョン率3% = CPA 1万円
3-5. 競合広告主の多いエリアの配信カット
同じ検索語句に入札をしている競合広告主が多いエリアの配信をカットしても、クリック単価は下がります。例えば東京は多くの広告主が参入しているため、地方と比べるとクリック単価が2倍、3倍になっていることも少なくありません。よって東京の配信をカットすることでクリック単価を下げられます。
商圏が広いビジネスの場合は、競合性の高いエリアを避けて配信することも戦略の1つです。コンバージョン単価が合うように入札を下げて運用すれば問題ないことも多いですが、競合広告主の多いエリアをカットすればクリック単価は下げられることを覚えておきましょう。
オークション分析という機能を使えば、指定したキャンペーン、広告グループで競合している広告主の名前や数が確認できますので、詳しく調査したい場合はぜひ併用してみてください。
クリック単価の下げ方の説明は以上です。
方法は色々ありますが、広告の品質を上げてクリック単価を下げるのがベストですので、覚えておきましょう。
4. リスティング広告のクリック単価についてよくいただく質問
最後にリスティング広告のクリック単価に関する細かい内容を、よく頂く質問の回答と合わせてご紹介します。ぜひ目を通していただき、クリック単価に関する理解を深めていきましょう。
4-1. クリック単価は管理画面のどこ見たらわかりますか
Google広告で説明します。まず見たい任意のコンポーネントをクリックしましょう。コンポーネントとはキャンペーン、広告グループ、キーワード等の階層のことです。その後「平均クリック単価」の列を確認すれば、クリック単価がわかります。
上部の指標をクリックすると、昇順、降順と並び替えできますので、状況に合わせて選択をしてください。
4-2. 目指すクリック単価はどれくらいにすべきでしょうか
これはリスティング広告のゴールである目標値から逆算して決める必要があります。例えば以下のような要件だったとすると、最低でもクリック数が10,000ないと達成できないため、クリック単価は100円以下に着地するように運用調整すべきです。
目標値(ゴール) | 月額予算 | コンバージョン率 | 必要なクリック数 | 着地すべきクリック単価 |
---|---|---|---|---|
コンバージョン数100件 | 1,000,000円 | 1% | 10,000 | 100円以下 |
そのため、目標値とコンバージョン率を仮でもよいので決めておく必要があります。コンバージョン率は運用していれば、その数値を当てはめればOKです。まだ配信されていない場合は、1%で試算してみてください。超ざっくり試算するのであれば1%で大きな問題はないはずです。
上記を踏まえて計算手順は以下の通りです。
- 目標コンバージョン数 ÷ コンバージョン率を行い、必要なクリック数を出す(100÷1%=10,000)
- 月額予算 ÷ クリック数を行い、着地させるクリック単価を出す(1,000,000÷10,000=100)
クリック単価は、コンバージョン数 ÷ コンバージョン率で求められますが、理屈がよくわからないと感じる方もいらっしゃると思います。その場合はわかりやすい等式を変形していくと腑に落ちるはずです。
コンバージョン率 = コンバージョン ÷ クリック数 の数式は意味がおわかりになると思いますが、これを「クリック数 = 」の数式に変形してみましょう。もしわからなければ、等式の変形の知識を復習することをおすすめします。
その上でロジックツリーで考えよう!リスティング広告の改善手順と注意すべきことの記事も合わせてご覧いただくと、理解が進むはずです。
4-3. Yahoo!広告のクリック単価もGoogle広告と同じでしょうか
Google広告のほうがクリック単価は高いことが多いはずです。
Googleの方がシェアが大きいため、どの業種も出稿する広告主が多く、競合性が高いからです。実際運用していてもGoogle広告のほうが高く感じます。
世界の検索エンジンシェアを確認できる「statcounter GlobalStats」のデータをもとに、日本でのシェア率が高い検索エンジンを確認したところ、上図の通りGoogleがぶっちぎりの使用率でした。スマホにおいては約8割がGoogleを使用している状態です。(期間は2022年4月〜2022年5月)
ただ同程度の入札価格で運用されると想定されるので、2倍も3倍も違うことはよっぽどないはずです。
注意点としては、Google広告のほうがシステムが賢く、コンバージョン率は高くなり、CPAが低くなることも多い印象です。クリック単価が低く着地しそうだから。という理由だけでYahoo!広告を選ばないようにしましょう。
どの媒体を選ぶべきかはリスティング広告の全種類の特徴と選ぶべきメニューを解説が参考になるはずですので、ぜひご覧ください。
4-4. 誰も広告を表示していないキーワードであれば、クリック単価は1円になるのでしょうか
理論上はYESです。実際自社だけが広告出稿をしていた商材の場合は、クリック単価1円で運用ができていました。ただクリック単価の決まる要素は全て公開されている訳ではなく、媒体が定期的にアルゴリズムに変化を加えていると予想されるので、絶対に1円になるとは断言できません。
4-5. 競合が嫌がらせで広告をクリックしてきたら、その分のクリック単価は課金されてしまうのでしょうか
1日に何回も多重クリックするなど、明らかに嫌がらせと判断できるものは課金対象から外れるはずです。
Google広告では以下のような、意図的な不正トラフィックや、誤クリック、重複クリックなど、ユーザーの純粋な興味によるものではないクリックでは、課金されないような仕組みになっています。
- 広告主様の費用や、広告を掲載するウェブサイトの所有者の収益を意図的に増やすために手動で行われるクリック
- 自動クリックツールやロボットなどの不正なソフトウェアによるクリック
- ダブルクリック時の 2 回目のクリックなど、広告主様にとって価値のない偶発的なクリック
ただ、全てを検知するのは難しいと考えられるので、全部カットはできないはずです。たまに相談いただく内容ですが、個人的にそんな暇人あんまりいないと感じます。ただ現実はわかりませんね…笑。
ちなみにIPアドレスを除外することで、そのIPアドレスには広告が出ないように設定できます。社員からのクリックを防止したいのであれば、この機能を使いましょう。詳細は下記ヘルプをご覧ください。
4-6. いくらのクリック単価(入札価格)から広告表示できるのでしょうか
競合の広告主の広告ランクによって決まるため、どのクリック単価から広告表示できるかはやってみないとわかりません。入札価格が低すぎると、広告ランクの下限値を満たさず、広告オークションに負けて広告表示できません。
ギリギリを攻める気持ちをは大切です。ただそこまでシビアな調整をしないと結果が出ないのであれば、リスティング広告の配信自体が目的に合っていない可能性がありますので、戦術の見直しをおすすめします。
さいごに. クリック単価は年々上がるため、現状維持では衰退していく
- リスティング広告のクリック単価はキーワードプランナーで無料で相場を調べられる
- 広告の品質を改善することが最も理想のクリック単価の抑制方法
- 抑制スピードを重視する場合に限っては入札価格を下げることを推奨
以上の3点がこの記事の要点です。
さいごに重要な考えをお伝えします。クリック単価は広告主が増加しているため年々上がっています。よって、現状維持だけしていると、コンバージョン単価が上がっていき、リスティング広告の効果は年々衰退していくはずです。そのためクリック単価の抑制もそうですが、コンバージョン率改善にも目を向けることが重要です。
電通様が出している2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析を見てもわかる通り、2018年からだけ見ても、インターネットの広告費は毎年おおよそ10%以上は伸びています。
更にインターネット広告費で最も多い広告がリスティング広告(検索連動型広告)となっています。
この2つのデータから、特にリスティング広告は参入する広告主が増えており、クリック単価(入札価格)が高騰していると判断できます。実際私は8年以上運用していますが、1年目から現在までで平均クリック単価が8倍以上になった業種があります。
そのため、今のクリック単価を入札価格を下げずに維持するのは努力が必要ですし、限界があります。広告の品質の改善が必要不可欠です。
また、コンバージョン率の改善も費用対効果を上げるために必要になるはずですので、ぜひ下記記事も参考にして、運用に励んでいただければ幸いです。