完全一致とは広告表示を最も絞り込みできるキーワードの種類です。ざっくりいうと、指定したキーワードと”全く同じ意味または意図の検索語句”に対して広告を表示できます。

例えば、「靴 通販」というワードを完全一致登録したとすると、以下の検索語句パターンで表示されます。

分類広告表示する検索語句( 設定キーワード:靴 通販)
表記ゆれくつ 通販、靴の通販、シューズ 通販、靴 通判
語順違い通販 靴
誤字脱字靴 通判、屈 通販

完全一致は特定の検索語句を狙い撃ちできるメリットがあるため「この語句はコンバージョンが多く取れる!」「コンバージョン単価が低く取れる!」と判断できる場合に設定することをおすすめします。

他にも選定基準はありますが、細かくなりますので記事内で詳細を説明します。

また、昔は語順が違いや、同じ意味合いの言葉には反応しなかったのですが、システムが優秀になったことでこのような語句でも反応するようになりました。この記事を執筆しているのは2022年の10月ですが、他の古い記事だと昔の情報が記載されているため注意が必要です。

この記事では完全一致の使い方やどのような場合に追加するべきかを説明していきます。理解が曖昧な方はぜひご覧ください。

1. 完全一致とは指定したキーワードと”全く同じ意味または意図の検索語句”に対して広告表示できるマッチタイプ

完全一致の図

改めてですが、完全一致は指定したキーワードと”全く同じ意味または意図の検索語句”に対して広告を表示できるキーワードの種類のことです。

とても簡単に説明すると、設定したキーワードと同じ意味の検索語句だけに広告を表示させたい場合に追加するものです。そのため「この語句はコンバージョンが多く取れる!」「コンバージョン単価が低く取れる!」と判断できる場合に設定することをおすすめします。

以前の完全一致は語順が逆の場合や同じ意味を持つ語句に対しては広告表示されませんでしたので、その頃と比べると反応する語句が大きく異なっています。(筆者の記憶では2021年7月くらいを境に挙動が変わりました)

また、完全一致以外のキーワードの種類は下図の通りフレーズと部分一致の2つが存在しますので、違いを軽く説明します。この3種類の分類をマッチタイプといいますので、知らなかった方はこれを機に覚えておきましょう。

Google広告ヘルプのマッチタイプ説明
キーワードのマッチタイプ/引用Google公式ヘルプ

1-1. 完全一致とフレーズ一致の違い

一言でいえば、フレーズ一致の方が広告表示できる検索語句が広い違いがあります。

完全一致は「全く同じ意味」の検索語句に反応するのに対して、フレーズ一致はキーワードと同じ意味を持つ検索語句に対して広告表示します。

例えば「靴 通販」をフレーズ一致で追加すると、「靴 購入」といったインターネット以外でも購買ニーズのあるキーワードでも反応するようなイメージです。

表示範囲が広がりすぎないのが特長のマッチタイプですので、キーワードと同じような意味を持つ検索語句だけに広告表示させたい時はフレーズ一致も使用しましょう。

フレーズ一致については下記記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
【最新版】フレーズ一致で反応するキーワードと成果を上げるために追加すべき状況

1-2. 完全一致と部分一致の違い

同じく広告表示できる検索語句が広い違いがあり、フレーズ一致よりも部分一致のほうが拡張範囲が広いです。

部分一致は設定したキーワードと関連した語句や類語にも広告表示されます。設定される入札価格によって拡張範囲は異なりますが、例えば靴 通販のキーワードを部分一致で登録すると

スニーカー 通販、ブーツ 通販、ローファー 通販

など靴 通販と関連のある語句にも表示します。幅広い検索語句をカバーできるマッチタイプですが、拡張範囲が広いが故にコンバージョンに繋がらない語句からのクリックを誘発してしまうことも多いので、使い方には注意が必要です。

部分一致は下記の記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
部分一致で反応する検索語句と成果を上げるために気をつけるべきこと

2. 完全一致で反応する3つの検索語句タイプ

ここからは完全一致で反応する検索語句のタイプの詳細を解説していきます。
冒頭で紹介した「靴 通販」のワードを完全一致登録した場合を基準として進めていきます。

分類広告表示する検索語句(靴 通販)
表記ゆれくつ 通販、靴の通販、シューズ 通販、靴 通判
語順違い通販 靴
誤字脱字靴 通判、屈 通販

2-1. 表記ゆれ

表記のゆれとは、同じ意味を持つ言葉の表記が混在している状態を指します。

表記ゆれも考慮して登録したキーワードと同じ意味、意図の検索語句に表示されますので、漢字、カタカナ、ひらがな、英語…といったように多数パターン毎に追加する必要はありません。1つだけの登録でOKです。

以下が代表的な表記ゆれの例です。表記ゆれに該当するかどうかの参考にしてください。

代表的なゆれの種類
日本語、英語靴、シューズ
送り仮名引っ越し、引越し、引越
漢字、ひらがな、カタカナねこ、猫、サーバ、サーバー
省略ダイヤ、ダイヤモンド
異体字、代用漢字車輛、車両

2-2. 語順違い

語順が違っても表示されます。今回の場合だと通販 靴でも表示されますので、語順を逆にして登録する必要はありません。以前は逆順も登録する必要がありましたが、システムが優秀になったので現在は不要です。

2-3. 誤字脱字

変換ミスによる漢字の間違いでも表示されます。そのため、靴 通判や屈 通販といった誤りでも表示されます。誤字パターンの追加も不要です。

3. 完全一致を登録すべきか判断するための基準

次は完全一致を登録すべきかどうか判断するための基準を紹介します。

  • コンバージョンするキーワードに偏りが出る場合
  • ニーズが多岐に渡る単一キーワードを配信する場合
  • キーワードの挿入機能を使う場合

3-1. コンバージョンするキーワードに偏りが出る場合

特定の検索語句にコンバージョンが集中する場合は追加しましょう。狙い撃ちができる完全一致のメリットを活かせ、コンバージョン単価を低く抑える目的に貢献します。

経験上、どんな業種でも特定のワードにコンバージョンが集中することがほとんどのため、完全一致を追加しないことはほぼありません。(便利屋さんなど依頼ニーズが様々なものは例外です)

配信中であればGoogle広告は検索語句。Yahoo!広告は検索クエリでコンバージョンを降順に並び替えて特定の語句に集中しているか見ましょう。

Google広告の検索クエリ
Google広告の確認方法。最上部にキーワードは追加候補に上がる
Yahoo!広告の検索クエリ
Yahoo!広告の確認方法。最上部にキーワードは追加候補に上がる

配信前であれば、購買ニーズのあるキーワードは完全一致追加します。具体例を挙げると、エリア名、おすすめ、費用など掛け合わせがこれに該当します。

運用をこれから始める場合は、サービスに申し込む気のある人が検索するキーワードを完全一致で登録しましょう。いわゆる下図中段の顕在層が検索する、商品やサービスのニーズが明確になっているキーワードが該当します。

ターゲット層

商材によって異なるため一概にこれとは言えないのですが、こんな説明だと抽象的すぎてわかりづらいかと思いますので、3つの商材を元にキーワードの例を記載しました。自社の商材だとどんなキーワードになるかを見ながら確認してみてください。

商材例おすすめ系購買系地域系費用系
注文住宅注文住宅 おすすめ注文住宅 一宮注文住宅 費用
EC商品名 ランキング商品名 通販 or 取り寄せ商品名 安い
パーソナルジムパーソナルジム おすすめパーソナルジム 一宮パーソナルジム 安い

3-2. ニーズが多岐に渡る単一キーワードを配信する場合

例えば注文住宅というワード。これは完全一致での追加を推奨します。注文住宅を建てたい人が検索するワードではありますが、フレーズ一致や部分一致で拡張させてしまうと、情報収集段階の検索語句など反応範囲が広がりすぎてコンバージョン単価が高騰する恐れがあるからです。(かけ合わせの語句が少ないほど拡張性が高いです)

コンバージョン単価よりコンバージョン数を重視するなど目的によっては追加をすることもありますが、基本的にはこのような掛け合わせ語句のない単一ワードは完全一致での追加をおすすめします。会社名やサービス名を追加する際もこれに該当します。

3-3. キーワードの挿入機能を使う場合

広告文に設定したキーワードを挿入できるキーワードの挿入機能を使う場合は、追加を推奨します。クリック率や広告の関連性などの指標が改善され、クリック単価の抑制に繋がるからです。

間違えやすいのですが、キーワードの挿入機能で広告文に入る語句は「設定したキーワード」です。検索された語句ではありません。ですので、フレーズ一致や部分一致は拡張するため、広告文に入る語句とユーザーが検索した語句が異なることが多いです。

例えば、注文住宅 一宮のキーワードで配信した場合、以下のように完全一致以外のマッチタイプだと検索語句と広告文に文字が一致しないことが起こります。

設定したキーワードマッチタイプユーザーの検索語句表示される広告文
注文住宅 一宮完全一致注文住宅 一宮注文住宅 一宮ならオンジン
注文住宅 一宮フレーズ注文住宅 浅井注文住宅 一宮ならオンジン
注文住宅 一宮部分一致こだわりの家を建てたい注文住宅 一宮ならオンジン

これでは広告文とキーワードの文字列が一致せず、上述した効果が得られにくいと考えられるため、完全一致で追加をするべきです。

以下媒体のキーワードの挿入機能を説明したヘルプページですので、機能について理解しておきたい方は合わせてご覧ください。

Yahoo!広告キーワードの自動挿入の設定方法
Google広告広告文のキーワードの挿入機能について

4. 完全一致の設定方法

次は完全一致の設定方法を説明します。Yahoo!広告とGoogle広告ごとに管理画面とエディターで設定する方法を解説します。これから広告運用を始める方はまずは管理画面での設定方法を覚えましょう。エディターは簡単に説明すると、入稿に特化したソフトウェアです。

複数の広告グループにキーワードを何十個と登録する場合はエディターが早いかと思いますので、管理画面の操作に慣れてきたら状況に応じて使い分けてみてください。数個設定するのであれば管理画面からの対応で問題はないです。

下記から無料ダウンロードできます。
・Yahoo!検索広告キャンペーンエディター
・Google広告キャンペーンエディター

4-1. Yahoo!広告

①管理画面

Yahoo!広告の完全一致の追加方法
  1. 完全一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. キーワードのボタンをクリックする
  3. キーワードを入力する
  4. 枠で囲ったマッチタイプの設定を完全一致にする
  5. 設定をクリック

②エディター

Yahoo!広告エディターの完全一致の追加方法
  1. 完全一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. キーワードをセル内に入力する
  3. マッチタイプをクリックして完全一致に設定する
  4. データのアップロードをする

4-2. Google広告

①管理画面

Google広告の完全一致の追加方法
  1. 完全一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. キーワードの検索キーワードをクリックする
  3. キーワードを入力する
  4. 左右の端に[]を入力する
  5. 保存をクリック

Yahoo!と異なり、[]の記号をキーワードの左右に入力する必要があるので注意をしてください。これが抜けると部分一致での登録になってしまいます。

②エディター

Google広告エディターの完全一致の追加方法
  1. 完全一致を追加したい広告グループをクリックする
  2. 左下のキーワードをクリックする
  3. 上段の+キーワードを追加のボタンをクリックする
  4. キーワードを入力する
  5. 赤枠をクリックして完全一致に設定する
  6. 送信をクリック

エディターの場合は管理画面のように[]の記号を入れる必要はありません。

5. 完全一致に関して知っておいてほしいこと

最後に完全一致に関して知っておいてほしい細かい内容をお伝えしていきます。運用経験のあるベテランの方でも勘違いされているケースが多いものも含んでいますので、理解に自信のある方も復習がてら確認してみてください。

5-1. フレーズ一致が入っていても完全一致は登録不要には原則ならない

フレーズ一致は完全一致で反応する検索語句も網羅できるから、完全一致は追加する必要はなくないか?

よくこの質問をいただくのですが、結論状況によります。無理やり結論を出すのであれば基本必要と考えておきましょう。

手動入札を利用している場合はキーワード毎に入札価格を設定して運用する必要があるため必須ですが、自動入札戦略を使っている場合は以下の状況であれば不要になります。

①コンバージョンの獲得データが蓄積されている

コンバージョン数最大化、目標コンバージョン単価といった入札戦略を使用している場合は完全一致はなくてもよい場合があります。なぜなら自動入札を入れていると、コンバージョンに繋がりやすい検索語句は入札を上げる、繋がりにくいものは下げるといった対応をシステムが自動で行ってくれるからです。

ただし、コンバージョン数が蓄積されておらずシステムが検索語句の優劣が判断できないと想定される場合は追加すべきです。数の目安としてはGoogle公式ヘルプに記載のある直近30日で30件以上を基準にしていただくとよいです。

Google公式ヘルプ

掲載結果を正確に評価するには、1 か月以上の長い期間に 30 回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合は 50 回以上)を獲得していることが推奨されます。

そのため、配信開始する際や30日で30件以上コンバージョンが獲得できていない場合は完全一致を追加しましょう。

②キーワードの挿入機能を使用していない場合

3-3で説明した通り、キーワードの挿入機能を使っている場合は完全一致でないと広告文に表示される文字が検索語句と異なり、クリック率やクリック単価改善の恩恵を受けられないため登録すべきです。使用しておらず30日で30件以上コンバージョンが獲得できていれば不要です。

5-2. 除外キーワードを完全一致登録したときの挙動は異なる

配信するキーワードとして登録する完全一致と除外キーワードに登録する完全一致は挙動が異なります。一言で言えば、除外キーワードの完全一致は全く拡張しませんので、一言一句同じ語句でないと除外されません。

除外キーワードの完全一致の挙動を詳しく説明すると

  • 語順が逆だったら除外されない
  • 表記ゆれは除外されない
  • 同じ意味合いの検索語句でも除外されない

といったように、旧来の完全一致と同じ挙動をします。ですので除外キーワードを完全一致で追加する場合は、全く同じ検索語句だけを除外したい時だけ設定しましょう。

除外キーワードについては下記の記事で詳しく確認できます。
除外キーワードとは?効果の出る選び方と設定方法から理解すべき仕様

5-3. 確実に広告表示させたい検索語句があれば追加をする

完全一致は指定したキーワードと全く同じ意味または意図の検索語句に対して広告を表示できるものですが、拡張範囲はシステム判断により、どこまで広がるかはブラックボックスです。

そのため確実にこの検索語句には広告表示したい!と考えているものがあれば、拡張性を無視して登録しておくと安心です。システムを信用することは大事ですが、挙動が完璧には読めないため漏れるとまずいものがあれば登録しておきましょう。

弊社ではお客さんからキーワードの追加依頼をいただいた際に、細かい表記ゆれのキーワードなど明らかに現在のキーワードで拡張するものは不要ですとお伝えしますが、経験上判断が難しいものは追加をさせていただいています。

まとめ

完全一致とは広告表示を最も絞り込みできるキーワードの種類です。ざっくりいうと、指定したキーワードと全く同じ意味または意図の検索語句に対して広告を表示できます。

例えば、「靴 通販」というワードを完全一致登録したとすると、以下の検索語句パターンで表示されます。

分類広告表示する検索語句( 設定キーワード:靴 通販)
表記ゆれくつ 通販、靴の通販、シューズ 通販、靴 通判
語順違い通販 靴
誤字脱字靴 通判、屈 通販

特定の検索語句を狙い撃ちできるメリットがあるため「この語句はコンバージョンが多く取れる!」「コンバージョン単価が低く取れる!」と判断できる場合に設定することをおすすめします。