リスティング広告はリアルタイムで改善ができる運用型広告です。
そのため、思うようにコンバージョンが取れなかったり、コンバージョン単価が高くなってしまっても、適切な対応をすればすぐにV字回復できる可能性があります。
しかしおそらく、あなたはどういった手順で改善すればよいのかわからず悩んでいるのではないでしょうか。
結論から言うと、リスティング広告の改善はロジックツリーを元に、目的から逆算して指標を1つずつ良化させることが重要です。ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解し、その原因や解決策を論理的に発見する考え方です。
リスティング広告は設定できる項目がたくさんあるため、どこを調整すればいいか迷いがちですが、ロジックツリーを軸にして、手順を間違えなければ見るところは非常にシンプルです。
この記事では、リスティング広告の改善手順を目的別で紹介していきます。加えて広告の設定だけでは改善が難しいパターンも存在するため、これも合わせて解説します。
ぜひご自身の状況と照らし合わせて実践してみてください。
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1. リスティング広告の改善をする前にやるべきこと
リスティング広告を改善していく前にしておくべき準備があります。まずはこれらをした上で改善を進めるようにしましょう。
1-1. 分析をして改善する対象を明確にする
リスティング広告の成果を改善するためにはまず分析を行い、悪化原因の要素や更によくできる要素を洗い出し、どこをテコ入れすべきか明らかにする必要があります。
例えるなら、医者が問診で治療箇所を特定するまでが分析。施術が改善と言えるでしょう。医者がいきなり施術しないのと同じように、リスティング広告もまず分析して、どこが悪いのかを明らかにしてから改善を進める必要があります。
分析をしないとどこをどう改善してよいか明確にできませんので、いきなり改善をしないようにしましょう。
分析方法は初心者でもできる!リスティング広告の分析方法と気をつけるべきポイントで解説していますので、こちらをご覧いただいた上で進めてください。
1-2. 改善の方向性を決めておく
次は改善を「削るか伸ばすか」どちらで進めていくか決めましょう。具体的に言えば、無駄を削って成果を上げるか、良いところをもっと伸ばして上げるかどちらの施策を実施するかです。これによって指標をどう改善するか異なってくるので、決める必要があります。
強引に例えるなら、健康的な痩せた体系になることが目的だったとして、食べすぎない対策をするか、健康に良い食事をすることをどちらを優先するかという感じです。
中小企業であれば、最優先事項は費用対効果(CPA)が多いはずですので、ほとんどの場合まず無駄を削ることから始めるべきでしょう。無駄を削った後にいいところ(CVRが高い箇所)を伸ばすことで、利益を増やしつつ、売上を増やすことができます。
費用対効果は度外視で売上を増やすことを優先する場合は、伸ばす方向性で進めてください。
2. リスティング広告の改善手順のロジックツリー
指標 | 数式 |
---|---|
コンバージョン | クリック数 × コンバージョン率 |
コンバージョン単価 | クリック単価 ÷ コンバージョン率 |
クリック数 | インプレッション数 × クリック率 |
まずリスティング広告の改善手順のロジックツリーをお見せします。改善目的の多くはコンバージョンを増やすか、コンバージョン単価を下げるかのどちらかかと思いますので、2つに分けてそれぞれ説明していきます。
図の見方をざっと説明すると、フローチャートの線で繋がっている指標を掛け算することで、指標は上記の数式で求められますので、それぞれを改善すれば目的が達成されていく。という形になっています。
改善は以下の順番で進めていきますので、ご自分の状況と照らし合わせて読み進めてみてください。
- 分析を元に何を目的に改善するかを決める(コンバージョン数の増加 or コンバージョン単価の抑制)
- 改善する指標を選ぶ(対になっている指標で改善できる余地が大きいもの。または両方)
- 指標に関連する設定項目を変更する(多岐に渡るので後述します)
コンバージョンを増やしたい場合は2章、コンバージョン単価を下げたい場合は3章をご覧ください。
改善する上で絶対にしておくべきことは目的の数値化です。コンバージョンを増やす。コンバージョン単価を下げる。という目的だけでなく、どの数値を目指すのかを決めておきましょう。例えばコンバージョン50件、コンバージョン単価10,000円を目指すというイメージです。
数値化できていれば、コンバージョン数が50件であれば、コンバージョン率が1%だとするとクリック数は5,000必要。コンバージョン率単価10,000円であれば、同様にコンバージョン率1%だとすると、クリック単価は100円以内に抑える。といったように指標の目標値を決められ、どれくらい改善すればよいかが明らかになります。
数値化されていないと何をどれくらい調整すればいいのかが不透明になってしまい、改善対象がわかりづらくなってしまいます。
3. コンバージョンを増やす場合に実施するリスティング広告の改善施策
それではコンバージョンを増やしたい場合の改善手順を説明していきます。
フローチャートをなぞっていくと
- クリック数を増やす
- コンバージョン率を上げる
の指標を改善することで、コンバージョンを増やせることがわかりますので、それぞれの指標を改善するためにやるべきことを以下に記載していきます。
3-1. クリック数を増やす
クリック数はインプレッションとクリック率の2つの指標に細分化できるため、それぞれの指標を改善する施策を打つ必要があります。広告掲載順位が低い場合を除けば、インプレッションを増やす施策の方がインパクトが大きいかと思いますので、上記に合致しない場合はこちらの改善からはじめていきましょう。
①インプレッションを増やす
目標値や状況によって変動しますが、予算内で目的達成するために優先して実行すべきものをおおまかに並べています。どこから手をつけていいかわからない場合は、上から順に対応いただくとよいかと思います。
施策 | 内容 |
---|---|
キーワード追加 | コンバージョンに繋がる見込みの語句を追加 |
入札価格の引き上げ | コンバージョンに繋がる見込みの語句の強化 |
広告文の修正 | レスポンシブ検索広告の見出しを増やす、変更する |
配信エリアの追加 | コンバージョンに繋がる範囲でエリアを増やす |
配信時間・曜日の追加 | 配信する曜日時間帯の拡張 |
配信デバイスの追加 | 配信をカットしたデバイスを追加する |
媒体追加 | Google広告、Yahoo!広告両方に出稿する |
予算の引き上げ | キャンペーンの日予算を上げる |
1つずつ調整内容を説明していきます。
■キーワード追加
コンバージョンに繋がる見込みのあるキーワードを追加します。方法は現在使用していない拡張性の高いマッチタイプを追加する。新規のキーワードを追加するの2つがあります。
完全一致とフレーズ一致だけで運用している場合は、部分一致も追加するなど拡張性を広げることでインプレッションを増やせます。新規のキーワードの選び方については、ざっと基準をお伝えすると下図の顕在層が検索するワードで明らかにすることが重要です。
キーワードの選び方は下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
100社以上運用してきた私が教えるリスティング広告のキーワードの選び方
くれぐれもインプレッションを増やすことが目的になり、コンバージョンしづらいキーワードばかりを追加しないように注意をしてください。
■入札価格の引き上げ
入札価格上げて広告掲載順位を引き上げ、ユーザーの目に広告が表示されやすくします。手動入札であればコンバージョンが獲得できているキーワードを中心に引き上げを行いましょう。自動入札の場合、目標コンバージョン単価を使用している場合であれば、目標のコンバージョン単価数値を上げることで掲載順位を上げられます。
上げるべきかどうか判断するための基本的な基準は、キャンペーンのインプレッションシェア損失率(ランク)が高いかどうかです。これが90%以上など高い場合は、入札価格が低いため広告表示できていない可能性が非常に高いですので、引き上げを推奨します。
■広告文の修正
広告文を修正することでもインプレッションを増やせます。方法としては、レスポンシブ検索広告の広告の有効性を上げるのが重要です。高くなると検索語句と広告文の一致率が向上し、オークションで入札できる機会が増えるため、広告表示できる検索語句の幅が広がります。
改善目安としては、広告の有効性が「良好」または「優良」になるように設定できると、多くの検索語句に表示できるようになっていると考えていただいてOKです。これ以下であれば改善の余地があると判断できます。
有効性を上げるには以下を実施することが基本となります。
- 見出しと説明文を増やす(最大の15個&4つが推奨)
- ターゲットとキーワードに関連するワードを入れる
- ピン留めはできる限り使わない
- キーワードの挿入機能を使う
この中でも優先してやってほしいのが1と2です。オークションに参加する検索語句を増やすという目的においてインパクトが大きいですので、見出し説明文の数が少なく、関連語句が入っていないようであればすぐに対応することをおすすめします。
関連語句を選ぶ際は、下記Googleの広告作成画面キャプチャの赤枠の黒字になっているキーワードを候補とするとよいです。検索意図がズレたものも提案されますので、コンバージョンに繋がるユーザーが検索する語句かどうか考えながら選択をしてください。
■配信エリアの追加
これはシンプルに配信エリアを増やせば表示対象ユーザーが増えるからです。商圏内であれば配信エリアに加えましょう。
コンバージョン単価の高い地域と低い地域があると思いますが、自動入札で運用していればシステムが自動で調整してくれるため特に設定する必要はありません。手動入札であれば地域毎に入札単価の調整比率を決めて費用対効果が合うように調整しましょう。
次からは簡単な設定が続きますので駆け足で説明していきます。
■配信時間・曜日の追加
こちらもシンプルに配信する曜日と時間を追加することで、インプレッションを増やせます。全時間・曜日に配信している場合はそのままでOKです。ただし、配信エリアと同様に時間帯や曜日によってコンバージョン単価に差があるようであれば、手動入札の場合調整することをおすすめします。
■配信デバイスの追加
パソコン、スマホ、タブレットに配信可能ですが、こちらに制限をかけている場合は配信デバイスを追加することでインプレッションを増やせます。極端にコンバージョン単価が高いデバイスはカットすべきですが、そうではなく、当初から配信していないのであれば検証も兼ねて全デバイスに配信するのが推奨です。
■媒体追加
Google広告だけ配信している場合は、Yahoo!広告やMicrosoft広告も始めることで配信面を増やせるためインプレッションも増えます。媒体によって利用ユーザーの特性が異なるため、商材のターゲットユーザーに合った媒体を優先して選びましょう。コンバージョン率の改善の効果も期待できます。
■予算の引き上げ
これらの施策を行っても大きな効果が出ない場合は、キャンペーンの日予算を高めることでインプレッション数を増やします。
見るべき指標は検索広告のインプレッション シェア損失率(予算)です。こちらが0%でない場合は予算が追加できる見込みがありますので、確認をしてみましょう。
予算を上げればインプレッション数は増えますが、その分追加予算が必要になります。そのため次から説明するクリック率やコンバージョン率の改善をして、目標コンバージョン数が達成できないかをまず考えることをおすすめします。
後述しますが、コンバージョン単価の抑制をしたい場合は予算追加よりもまず入札価格を下げ、クリック単価を落としましょう。インプレッション シェア損失率(予算)が出ているのであれば、間違いなく落とせます。
費用対効果は一旦考慮せず、コンバージョンをまず増やしたい!という場合は気にせず予算を追加していただいてOKです。
②クリック率を上げる
クリック数を増やすもう1つの方法がクリック率を上げることです。インプレッションを増やす方法と重複しているものもありますが、こちらはクリック率を上げるという観点でどうすべきか説明します。
施策 | 内容 |
---|---|
入札価格の引き上げ | 広告掲載順位を上げる |
広告文の修正 | ユーザーのニーズに応える内容にする |
■入札価格の引き上げ
入札価格上げて、広告掲載順位を上位に引き上げることで、ユーザーの目に広告が表示されやすくしてクリック率を上げます。下位表示だとクリック率は低くなってしまいます。
広告が上部に表示されているかどうかは下記2つの指標を確認することでわかります。
- ページ最上部インプレッションの割合
- ページ上部インプレッションの割合
ページ最上部=1ページ目の一番上。ページ上部=1ページ目の上の掲載面。になります。
数値の目安としては、ページ上部インプレッションの割合が50%以下など半分以上が下位表示になっているのであれば引き上げを検討してもよいでしょう。ただし予算が不足している場合はこの限りではありません。
広告の品質の改善でも広告掲載順位の改善はできます。広告の掲載順位は「広告の品質や入札単価、広告とランディングページの関連性」等で決まるからです。(他に広告表示オプションや検索を行ったときの背景などでも決定しますが、説明が細かくなるためここでは割愛します)
広告の品質は様々な要素が絡んでおり、媒体公式ページでも全て公開されていないため「こうしたら絶対に上がります!」という方法は正直なところありません。そのため、早く掲載順位を上げたいのであれば入札価格を上げるのが確実かつ手っ取り早いです。
広告の品質に関連する品質スコアの改善方法はクリック単価を下げる章で説明しておりますので、気になる方はそちらも合わせてご覧ください。
■広告文の修正
上部に表示されても広告文がクリックしたくなるものになっていなければ、クリック率は上がりません。よって広告文の内容も重要になってきます。
キーワードを広告文に含めるなど細かいやり方は様々ありますが、本質をお伝えすると、商材を求めているユーザーのニーズが満たされることを訴求するのが大切です。
例えば、歯医者の患者さんを集める広告文であれば「痛みの少ない治療ができる」というのが主要な訴求の1つになるはずです。広告を見て「私が探していたのはこれだ!」と思わずクリックしてしまうような文章を作ることが重要です。
注意点としては誇大な表現をしてしまうと、クリックされても結局コンバージョンに繋がらない。成約後にクレームが生まれるなど不利益を被ること可能性があります。そのため、実際のサービス内容と乖離しすぎない表現をするようにしましょう。
クリック率を高め、コンバージョンを獲得する広告文の作成方法は別の記事で説明いたします。ぜひこの内容を見て広告文の作成や修正を行ってみてください。
3-2. コンバージョン率を上げる
次はコンバージョン率を改善する施策を紹介していきます。紹介する方法以外にもありますが、代表的なものを並べています。ざっくりインパクトの大きい順に並べていますので、上から順に対応いきましょう。
施策 | 内容 |
---|---|
キーワード追加・停止 | コンバージョンに繋がる見込みの語句を追加 |
除外キーワードの追加 | コンバージョンに繋がらない語句を除外する |
広告文とリンク先の修正 | コンバージョンに繋がるユーザーのニーズを満たす内容にする |
入札戦略の変更 | 手動入札を自動入札に変更する(逆もあり) |
配信エリアの絞り込み | コンバージョンに繋がる地域だけに絞る |
配信時間・曜日の見直し | コンバージョンに繋がりづらい時間は配信を弱める |
後述するコンバージョン単価を下げる際もコンバージョン率を上げる対策は必要になりますので、こちらが目的の場合も合わせてご覧ください。要点はリスティング広告のコンバージョン率(CVR)を上げるためにやるべき6つの施策でも解説しているので、参考にしてみてください。
■キーワード追加・停止
追加する場合はコンバージョンに繋がる見込みのあるキーワードを選択。停止する場合はコンバージョンに繋がらないものや、取れているがコンバージョン単価が高いキーワードが対象です。基本的に最もインパクトの強い施策になりますので、 優先して行いましょう。
端的にポイントだけお伝えすると以下のようになります。
手法 | やり方 |
---|---|
コンバージョンに繋がるキーワードの追加 | ①獲得実績のあるキーワードを拡張させる ・CVクエリをフレーズ一致、部分一致で登録する ・CVクエリの複合ワードを追加する ②取りこぼしている顕在キーワードを登録する ・顕在キーワードの複合ワードを洗い出す |
コンバージョンに繋がらないキーワードの停止 | ①費用だけ使っており、CVに繋がっていないKW ②CVが取れているが、CPAが著しく高いKW |
追加すべきキーワードや停止するキーワードは下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
100社以上運用してきた私が教えるリスティング広告のキーワードの選び方
■除外キーワードの追加
次にやっていただきたいのが除外キーワードの登録です。検索意図のズレた検索語句を除外して、不要なクリックが発生しないようにすることでコンバージョン率の改善ができます。
除外すべきキーワードの選び方は下記のように進めていただくと明らかになります。
- 検索語句を表示する
- 費用を降順にして並び替える
- 上から見て、検索意図が異なる or コンバージョン単価が高い語句を除外登録する
下記ページで画像を用いながらやり方の詳細を説明していますので、合わせて確認してみてください。
除外キーワードとは?効果の出る選び方と設定方法から理解すべき仕様
■広告文とリンク先の修正
広告文とリンク先の修正をすることでもコンバージョン率は改善できます。端的にお伝えすると、両方をコンバージョンに繋がるユーザーのニーズを満たす内容にすることが重要です。
クリック率の見出しで説明した内容とほぼ同じですが、無痛治療の得意な歯医者の患者を集める広告配信を例にして改めて説明します。「歯医者 痛くない」というキーワードに対しては「◯◯市の痛みの少ない歯医者なら」という痛みの少ない歯医者であることを表す広告文見出しを見せるべきです。
そしてリンク先は痛みの少ない治療ができる理由を詳細に説明するページに設定します。
こう設定することで痛みの少ない歯医者を探しているユーザーが広告をクリックし、痛みの少ない歯医者であることが理解できるため、コンバージョン(予約)に繋がりやすくなります。
キーワードのニーズを満たせる広告文とリンク先を設定することがコンバージョン率改善の鍵となりますので、ニーズが同じキーワードを広告グループにまとめて、それに合う広告の作成を進めていきましょう。
コンバージョンに繋がる広告文の作成については別の記事で詳しく解説します。
■入札戦略の変更
手動入札を使っている場合は自動入札に切り替えを検討しましょう。自動入札は以下のような手動では考慮できないユーザーのシグナルも参考にして入札価格を調整してくれるので、コンバージョン率の改善が期待できます。
- 検索語句
- 所在地
- 使用ブラウザ、OS
現在は完全一致やフレーズ一致を登録しても広め検索語句まで反応しますので、特に検索語句を読み取って入札を調整してくれるのは非常に強みといえるでしょう。
種類は様々ありますが、目標CPAが決まっている場合は目標コンバージョン単価。とにかく数を増やしたいという場合はコンバージョン数の最大化を設定しましょう。
ただし注意点として、クリック単価が異常に高騰することがあります。そのため、月額予算20万円以下など少額で運用されている場合は、手動入札で入札価格を低めに設定した運用のほうがコンバージョンが増えることもあります。
よって「絶対自動入札にすべき!」というわけではありませんが、少額を除けば基本自動を推奨します。
■配信エリアの絞り込み
コンバージョンの繋がる地域だけに配信することでコンバージョン率は改善できます。
説明するための例として、店舗ビジネスの場合は一般的に距離が近いユーザーほどコンバージョン率が高いはずです。そのため、店舗から半径15km以内に配信するよりも、5km圏内に配信して絞り込みを行うことで率の改善が期待できるというイメージです。
コンバージョンが繋がるエリアであれば配信をすべきですが、そうでなければ縮小をすべきです。
■配信時間・曜日の見直し
最後に配信する時間と曜日の見直しです。効果がないとは言えませんが、ユーザーがすぐにコンバージョンする気分ではない時間に配信してしまっているとコンバージョン率の低下に繋がります。
例えば、BtoB商材であれば土日は停止を検討してもよいでしょう。検索行動を起こすユーザーはいますが、大半が軽く情報収集をしているだけで、すぐにコンバージョンに繋がらない恐れがあるからです。他には深夜帯の配信もベッドでうとうとしながらスマホをさわっているモチベーションの低いユーザーは、コンバージョンに繋がりづらいと考えられるため、同様に停止候補に上がります。
特に少額で運用されている場合は、極力コンバージョンに繋がりづらい配信はカットすべきですので、上記のような時間や曜日の配信を停止することを検討してみてください。
4. コンバージョン単価を下げる場合に実施するリスティング広告の改善施策
次はコンバージョン単価を下げる際に行う改善を紹介していきます。改善する指標はコンバージョン率とクリック単価ですが、コンバージョン率は先程説明した通りですので、クリック単価の改善の仕方に絞って説明をしていきます。
詳細はリスティング広告のCPAを下げる方法と事業拡大する上での向き合い方でも説明してますので、ぜひ合わせてご覧ください。
4-1. クリック単価を下げる
やるべき施策は以下の通りです。こちらも上から順に効果の大きい順に並べています。
施策 | 内容 |
---|---|
入札価格の引き下げ | キーワードの入札価格を下げる |
品質スコアを上げる | 推定クリック率、広告の関連性、ランディングページの利便性を改善する |
クリック単価の高いキーワードの停止 | クリック単価の高騰に繋がっているキーワードを停止 |
配信エリアの縮小 | クリック単価の高い地域を停止 or 入札抑制する |
1つずつ詳細を説明していきます。
■入札価格の引き下げ
最もインパクトのあるのが入札価格の引き下げです。早くコンバージョン単価を下げたいのであれば、こちらから手をつけましょう。
自動入札を使っている場合と手動入札の場合の2つに分けてやり方を説明します。
①自動入札の場合
目標コンバージョン単価を導入し、設定したコンバージョン単価を下げることで入札価格を下げられます。キャンペーンまたは広告グループのキャプチャ赤枠の単価数値を調整しましょう。
コンバージョン数の最大化だと意図的に入札を下げられないので、コンバージョン単価を意識して運用する場合はこちらを使用するのがおすすめです。ちなみにポートフォリオ入札戦略というものを使えば、自動入札を使いながらも入札価格を設定できますが、機械学習の妨げになりますので私はおすすめしておりません。
厳密に言うと獲得できるコンバージョン数にはよりますが、自分の経験上だと短くても1週間は一度設定した目標コンバージョン単価を変更するのは非推奨です。なぜなら自動入札は成果を安定させるための学習期間が必要なためです。初段階は様々な配信をしながら、成果の良し悪しを判断して最適化していく仕組みになっています。
そのためコンバージョン単価が急激に高くなるなど、調整したくなる場面があるかと思いますが、1週間はグッと堪えて様子を見ることをおすすめします。時間が経つと学習が完了し、落ち着いてくることが多いです。キャンペーンのステータスを見ることで下記のように学習中かどうかが確認できます。
成果の関係上、素早く調整しないといけない場合もあるかと思いますが、上記を念頭に運用をしていきましょう。
②手動入札の場合
手動の場合は、以下の優先順位順に入札価格を下げることで、コンバージョン単価の抑制が期待できます。
- コンバージョンが取れていない&予算を多く使っているキーワード
- コンバージョンは取れている&予算を使っているキーワード
- コンバージョンは取れていない&予算をあまり使っていないキーワード
管理画面上で指標をクリックして降順に並べ替えたり、フィルタ機能を使ってコンバージョン0件のキーワードのみに絞り込むことで対象が見つかりやすくなります。ぜひ使ってみてください。
■品質スコアを上げる
次に紹介するのが品質スコアの改善です。品質スコアとは広告の品質の目安スコア指標です。
ややこしいですが、品質スコアを改善したからといって、クリック単価が絶対下がるわけではありません。あくまで広告の品質の目安だからです。よって改善すれば100%良くなるとは断言できないので、注視しすぎるのはおすすめできません。目安として見る程度にしておきましょう。
品質スコアは以下の3つの指標で構成されているので、それぞれを改善することで広告の品質の良化に繋がり、入札価格が低くても上位に広告表示できるようになり、クリック単価の抑制に繋がる可能性があります。別の記事で詳細は説明しますので、端的にここでは紹介します。
①推定クリック率
広告がクリックされる可能性を示す指標です。キーワードの過去の掲載結果を元に判定されます。
改善策
- 検索したユーザーのニーズを満たせることがわかる広告文に修正する
- 独自の強みを広告文に含める
②広告の関連性
広告がユーザーの検索意図と一致する度合いを示す指標です。
改善策
- キーワードの検索語句を含む広告文を登録する
- キーワードの挿入機能を使い、広告文にキーワードを表示させる
③ランディングページの利便性
広告のリンク先がユーザーにとってどの程度関連性があって有用であるかを示す指標です。
改善策
- キーワードの検索意図に合ったリンク先を設定する
- 広告分とページの訴求内容を一致させる
- ページをモバイルフレンドリーにする
- ページの読み込み速度を早くする
上述した内容の繰り返しになりますが、広告の品質が改善できれば、広告掲載順位を落とさずにクリック単価が抑制できます。しかし判断基準はブラックボックスのため「こうすれば絶対改善する!」というものは正直にお伝えするとありません。そのため早くクリック単価を下げたいのであれば、入札価格を下げるのが確実です。
■クリック単価の高いキーワードの停止
こちらはシンプルにクリック単価が高いキーワードを停止していきます。予算を多く使っているキーワードから順に、以下の優先順位のとおりに停止をしていきましょう。
- コンバージョンに繋がっていないクリック単価の高いキーワード
- コンバージョンに繋がっているコンバージョン単価が高いキーワード
■配信エリアの縮小
クリック単価が高い地域の配信停止もしくは入札抑制を行いましょう。クリック単価は他の広告主とのオークションで決まるため、競合が多い地域は高くなります。そのため、東京や大阪などの都心は地方と比べるとクリック単価が高い傾向にあります。
ただし、都心の方がコンバージョン率が高くコンバージョン単価が低くなるケースも多いため、クリック単価だけをみて判断することがないようにしましょう。
5. リスティング広告の成果を改善するために管理画面外で確認すべきところ
ここからはリスティング広告の費用対効果を上げるために、広告管理画面外で確認すべき箇所を説明していきます。結論からお伝えすると下記2つです。
- ランディングページ
- 商品・サービス内容
リスティング広告は魔法の杖ではありませんので、広告の受け皿であるランディングページや商品に問題があるとどれほど細かく管理画面上で調整しても、コンバージョン率が上がらず効果は薄れてしまいます。
もちろん弊社がリスティング広告運用する際は広告だけでも効果が最大化するよう尽力しておりますが、僭越ながらボトルネックがこれらにあり、目的達成が困難になることもあります。そのためコンバージョンを拡大していくのであれば、管理画面外にも目を向け改善をしていくべきです。
それでは1つずつ説明していきます。
5-1. ランディングページ
ランディングページは広告をクリックしたユーザーがはじめに見るものなので非常に重要です。ページを見てどのような効果をもたらしてくれる商品かわからないと離脱され、コンバージョンに繋がりづらくなってしまいます。
ここでは私が今まで100社以上運用した経験上、必ずこうしてほしいと考えているポイントを紹介しますので、LPの改善でお困りの方は参考にしてください。様々なパートの中でも最初に目に入るファーストビューは離脱率を左右するとても重要な箇所ですので、特に手を抜かないようにしましょう。
- ファーストビューのキャッチコピーと広告文の内容を一致させる
- ファーストビューでどんな結果が得られるのか(ベネフィット)を視覚的に表現する
- ファーストビューにCTA(問い合わせや商品購入ボタン)を設置する
- お客様の声を記載する(フリー素材など捏造感が感じられるものは控える)
- お客様満足度や取引実績を掲載して権威付けする
改善方法の詳細はLPがリスティング広告に必要な理由と格安で成果の出るものを作る手順をご覧ください。
5-2. 商品・サービス内容
そもそもの話にはなってしまいますが、魅力的な商品でなければコンバージョンはされません。そのため、狙うキーワードや広告文、ランディングページに大きな問題がなく、十分にクリックが集まっているのにコンバージョンが取れないのであれば、商品自体にテコ入れが必要だと考えるべきでしょう。
Meta(旧Facebook社)の創業者マーク・ザッカーバーグ氏は「広告費というのは、企業がつまらないサービスやプロダクトをつくったことに対する罰金である」という言葉を残しています。ちょっとキツイ言葉ですが、確かにその通りだなと思います。
私も事業を営んでいる身として、かける広告費は少ないに越したことはないと思っているので、お客さんも広告に頼りっきりにはなってほしくありません。
なので商品がユーザーニーズを満たせているかを日々考え、改善を繰り返せるとよいと思っています。そのため、弊社は必要であればお客さんの商品にご意見をさせていただくこともございます。(当然広告でなんとかできればしたいというスタンスではあります)
少し脱線しましたが、広告だけの改善では目的達成が困難な場合もありますので、上述したランディングページや商品にも触れつつ、改善をしていくことがリスティング広告の改善にも繋がることを覚えておきましょう。
6. リスティング広告を改善する上で知っておいてほしいこと
最後にリスティング広告の改善を進めるにあたって理解しておくべきことを紹介します。ここに記載のある内容を踏まえた上で改善を進めていただくと失敗が少なくなるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
6-1. 分析や改善を進める際はドリルダウンで行うこと
分析や改善はドリルダウンで行いましょう。
ドリルダウンとは分析範囲を一段階ずつ絞って掘り下げながら分析していく手法のことです。この手法を取らないと、分析対象に漏こんれが発生したり、時間がかかる恐れがあります。
具体的な方法としては以下のように大きなコンポーネントの順番に分析していきます。
- キャンペーン
- 広告グループ
- キーワード
- 広告
- デバイス、デモグラフィック等ターゲティング
コンバージョン単価を下げるのを例にして手順を軽く説明すると、コンバージョンが高いキャンペーンを見つける→その中のコンバージョン高いor 取れていない広告グループを見つける→その中のコンバージョンが取れておらず予算を使っているキーワードを特定する。といった感じです。
6-2. コンバージョンの数だけでなく質も考慮する
コンバージョンの数を増やすことは大事ですが、質も考慮をしましょう。当たり前ですが、問い合わせが多くなっても全然商談に繋がらなかったり、荷電数は増えても間違い電話ばかりが増えた。といったことではいけません。売上に繋がるコンバージョンを増やすのが重要です。
質の確認方法は、コンバージョンしたキーワードと実際の反響を照らし合わせのがベストです。正直管理画面だけで判断するのは難しいですが、予測の参考になるのは検索語句です。
厳密にいうと商材によって異なりますが、経験上リテラシーの低いユーザーが使う言葉や低価格を重視した言葉からのコンバージョンは商談に繋がらないことが多い印象です。(少し表現が悪いですが…)例えば以下のような語句が挙げられます。
質が悪い語句 | 質が良い語句 |
---|---|
いくら | 費用 |
インターネット広告 | Web広告 |
激安 | 格安 |
検索語句以外だと、自身でアドアフィリエイトをしていた経験から、下部の広告をクリックするユーザーより上部の広告をクリックするユーザーの方が承認率が高いということも傾向としてもありました。
これらは一例ですが、コンバージョン数だけにとらわれず質も意識して運用することも忘れないようにしましょう。
6-3. 数値だけで判断せず、ユーザー心理もセットで考えて施策を実施する
ここまで改善すべき指標を見つけて施策を実施する流れをお伝えしていきましたが、ロボットのように数値だけを見て改善することがないように注意をしてください。必ずユーザーの心理を考えることもセットで行いましょう。
なぜなら、数値だけで判断してしまうと偶然悪化や良化している場合や現状のままでよい状態でも施策実施をしてしまい、改善に繋がらない恐れがあるからです。特にデータが少ない際はこの確率が高くなりますので注意が必要です。
実際に失敗例を出して説明します。商材はカードローンで、目的はコンバージョン単価の抑制でした。
当時数値を見ると、クリック単価が下げられる余地が大いにありました。そのため入札価格を抑制して下げたのですがコンバージョン率が大きく低下してしまい、逆にコンバージョン単価が高くなってしまいました。
この後検証を繰り返した結果、原因は上位表示されている広告をクリックするユーザーはすぐにお金を借りたいというニーズが強く、コンバージョン率が高い。しかし、下位表示させたことでここを取りこぼしてしまい、クリック単価は下がったけど、コンバージョン単価が悪化したという結論に至りました。
このように数値だけで判断して施策実施をしてしまうとかえって悪化することもあります。ですので必ず商材のユーザーはどんな心理で検索しているのかと考えることを忘れないようにしましょう。ここは機械でなく、人しかできないことですので運用者の腕が試されます。
リスティング広告は配信後の改善も重要ですが、それ以上に戦略がない状態で進めてしまっていたり、外れていると軌道修正が大変ですので、曖昧になっている方がいらっしゃればぜひ下記の記事をお読みください。
6-4. 改善が上手くいかず、目的が達成できない場合は停止も視野にいれるべき
リスティング広告は顕在層にアプローチできる優れた広告です。しかし、目的や環境(相場のクリック単価 、コンバージョン率)によっては適していない場合もありますので、その場合は停止して他の広告を配信するなどの手段を取ることも視野に入れておきましょう。
例えば、リピートの見込めない価格の安い家具の通販であれば、私の見解だとリスティング広告ではなく楽天などのモールに出店したほうがコンバージョン単価が低く獲得できると思っています。
LTVから逆算すると、クリック単価とコンバージョン率をどの数値に着地させるべきかが明らかになりますが、相場から判断すると「これはかなり厳しいな。」ということも珍しくはありません。(この場合そもそも配信しない方がよいですが…)
目的が達成できれば手段は何でもよいとは思いますので、もし一向に改善できない場合はリスティング広告以外の方法も検討することをおすすめします。
まとめ
リスティング広告の改善は図をなぞりながら、以下手順で進めることで可能です。
- 分析を元に何を目的に改善するかを決める
- 改善する指標を選ぶ
- 指標に関連する設定項目を変更する
設定できる項目がたくさんあるため、どこを調整すればいいか迷いがちですが、手順さえ間違えなければ見るところは非常にシンプルです。
目的に合わせて改善する指標を見つけて、ボトルネックになっている箇所を良化させていきましょう。