リスティング広告の成果を上げる上で、コンバージョン率の改善は欠かせません。
コンバージョン率はコンバージョンに至る確率のことです。「コンバージョン数 ÷ クリック数」の数式で求められ、コンバージョン数と密接に関わるとても重要な指標です。
コンバージョンを増やすには、クリック数かコンバージョン率を上げる以外方法はありません。クリック数は広告予算でおおよその上限が決まるため、予算を増やさずにコンバージョンを大きく増やすには、コンバージョン率の改善が肝になってきます。
改善方法は多岐にわたりますが、私がやるべきと考えている改善施策は以下です。これらを実行すればコンバージョン率を大きく悪化させる要因を概ね取り除けるはずです。まずはこれらに欠陥がないように調整していきましょう。優先度が高いものから取り組んでください。
着手優先度 | 施策 |
---|---|
高 | 登録キーワードの見直し |
除外キーワードの登録 | |
広告文の見直し | |
ランディングページの見直し | |
低 | 予算配分(アカウント構成)の見直し |
入札戦略の見直し | |
CVRの低い曜日時間の配信カット | |
配信エリアの調整 | |
広告掲載順位の引き上げ |
この記事ではリスティング広告のコンバージョン率を上げる方法を主にお伝えします。初心者でもすぐに実践できる方法から、運用に慣れてきた方向けの細かい内容まで説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
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1. リスティング広告のコンバージョン率が低くなる3つの主な要因
はじめにリスティング広告のコンバージョン率が低くなってしまう主な原因をご紹介します。これが理解できていないと、説明する対処法を実行する意図が腹落ちしませんので、まず押さえておきましょう。
結論以下3つです。1つずつ説明していきます。
- 商材を求めていない検索語句からのクリックが大半を占める
- 広告文で見込み客にアプローチできていない
- ランディングページで商材の価値が伝わっていない
1-1. 商材を求めていない検索語句からのクリックが大半を占める
経験上最も多いのが、商材を求めていない検索語句からのクリックが大半を占めているパターンです。ユーザーが探していないものを広告で見せていては、当然コンバージョンはなかなかされませんので、コンバージョン率は下がります。
上記例では、名古屋の一戸建ての物件を見たいと感じたユーザーが「名古屋 一戸建て」と検索しますが、表示されたのは分譲マンションの広告です。クリックして表示されるのは分譲マンションのページですので、求めているものと違うと判断され、離脱されてしまっています。
このようなニーズとズレた検索語句からのクリックが多発している場合は、コンバージョン率は低くなります。
1-2. 広告文で見込み客にアプローチできていない
次は広告文で見込み客にアプローチできていないパターンです。広告文で商材の価値を伝えられないと、見込み客からのクリックは少なくなりますので、コンバージョンが獲得できず、コンバージョン率も下がります。
上記例では、名古屋の安めの一戸建て物件を見たいと感じたユーザーが「名古屋 一戸建て 格安」と検索しますが、表示されたのは「名古屋の一戸建て物件なら」という何の変哲もない広告文です。そのため、格安物件があるかユーザーが判断できず、クリックされずに素通りされてしまっています。
広告文で商材の特徴や価値の表現ができていないと、このように見込み客からのクリックの取りこぼしが発生し、コンバージョン率が低下する恐れがあります。
1-3. ランディングページで商材の価値が伝わっていない
最後はランディングページで商材の価値が伝わっていないパターンです。クリックされている検索語句や広告文に問題はなくても、ユーザーの受け皿であるLPで商品の魅力が伝わらないと、離脱されてしまいます。よってコンバージョンに繋がらず、コンバージョン率が下がります。
上記例では、名古屋の一戸建て物件を見たいと感じたユーザーが「名古屋 一戸建て」と検索して広告をクリックしますが、表示されたのは物件情報だけが無造作に並べられたページだとします。
一戸建てといっても注文住宅、建売住宅なのか。外観はどんなテイストなのか。そもそも他社とどう違うのかなどユーザーニーズは様々です。そのためLPでは、このページにあるのはどんな特徴のある商材なのかを伝えてあげないと、ユーザーは判断に迷ってしまい、離脱してしまいます。
キーワードや広告文の設定が問題なくてもLPに欠陥があると、コンバージョン率が低い状態になってしまいます。この状態だと広告運用を必死にやってもコンバージョン率の大きな改善は難しいので、先にLPの改修を行いましょう。
次からこれらが解消できるコンバージョン率の上げる施策を説明していきます。
2. リスティング広告のコンバージョン率の上げる際にやるべき施策(優先度高)
着手優先度 | 施策 |
---|---|
高 | 登録キーワードの見直し |
除外キーワードの登録 | |
広告文の見直し | |
ランディングページの見直し |
ここからはコンバージョン率の上げる際にやるべき施策を優先度別で説明していきます。経験上効果の大きいものからピックアップしています。
まず1章で解説した事象を解決できる施策から説明していきます。これらを潰せばコンバージョン率は平均程度には上げられるはずですので、優先して取り組みましょう。
2-1. 登録キーワードの見直し
商材を求めているユーザーの検索語句でクリックが集まるように見直しを行います。そのためまず、よくクリックされており、コストを投下している検索語句を確認しましょう。Google広告であれば検索語句の箇所から確認可能です。
上記のように費用を降順にして並び替え、コンバージョンが取れている語句や商材を求めている語句中心で予算が使えていれば問題ではありません。
ここで青枠のコンバージョンの取れていない語群が、商材を求めていないことが明らかで、費用を多く投下しているのであれば、登録キーワードや後述する除外キーワードを見直す必要があるでしょう。
ニーズがズレている語句のイメージと、登録キーワードの見直し例を記載しますので、判断の参考にしてみてください。無駄があれば省き、漏れがあれば追加をしましょう。
商材 | ニーズがズレている検索語句例 | 登録キーワードの対応例 |
---|---|---|
分譲マンション | 一戸建てや賃貸系の語句 | ・一戸建て、賃貸のかけあわせキーワードがあれば省く ・分譲マンションかけあわせキーワードのみ登録 |
清掃代行会社 | 自分で掃除する方法を調べている語句 | ・やり方関連のキーワードがあれば省く ・清掃代行、清掃会社かけあわせキーワードのみ登録 |
パーソナルジム | 自宅でできるトレーニングを調べている語句 | ・トレーニング名のキーワードがあれば省く ・パーソナルジムかけあわせのキーワードのみ登録 |
300社以上運用してきた私が教えるリスティング広告のキーワードの選び方の記事でキーワードの選定方法の詳細は説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2-2. 除外キーワードの登録
クリックされている検索語句は除外キーワードでもコントロールできますので、登録キーワードの見直しと合わせてこちらも実行しましょう。除外キーワードとは、特定の語句を含む検索に対して広告が表示されないようにする設定のことです。
登録キーワードで大まかな狙う検索語句を決めて、少しズレた語句を除外キーワードで省くイメージをしていただくとわかりやすいと思います。
ニーズがズレている語句で多くクリックされているものがあれば、除外キーワード登録をしてください。登録する除外キーワードは以下のようなイメージです。
商材 | ニーズがズレている検索語句例 | 登録する除外キーワードの例 |
---|---|---|
分譲マンション | 一戸建てや賃貸系の語句 | 一戸建て、一戸建、賃貸、家、平屋、建売 |
清掃代行会社 | 自分で掃除する方法を調べている語句 | やり方、道具、仕方、裏ワザ、コツ、やる気、洗剤 |
パーソナルジム | 自宅でできるトレーニングを調べている語句 | 方法、自宅、器具、グッズ、自重 |
除外キーワードは登録するキーワードとマッチタイプの挙動が異なるので、違いを理解してから進めましょう。詳細は除外キーワードとは?効果の出る選び方と設定方法から理解すべき仕様をご覧ください。
2-3. 広告文の見直し
キーワード周りの見直しが完了したら、広告文の見直しをしましょう。目指すべき広告文は「ターゲットユーザーが絞り込まれており、商材の価値を伝わるもの」です。この状態を目指すためには、以下2つがわかる広告文を作成するのがポイントです。
- ターゲットユーザーが検索している商品やサービスであることがわかる
- ユーザーの求めていることが満たされるのがわかる
例えば名古屋の味噌ラーメン屋がリスティング広告を配信したとすると、ターゲットユーザーは名古屋の味噌ラーメン屋を探している方。そして最も求められている価値は美味しさでしょう。
そのため「名古屋の絶品味噌ラーメンなら」といった広告文を作れば、名古屋の味噌ラーメンを求めている人且つ、美味しいそうなラーメンを提供してくれることがわかるので、見込み客からのクリック率を高めつつつ、コンバージョン率も高い状態が作れると想定できます。
広告文作成はとても奥が深いので、リスティング広告のコンバージョンが増える広告文の作り方と改善テクニックを見て、ぜひコツを理解しておきましょう。
2-4. ランディングページの見直し
優先してやるべき最後の施策はランディングページ(LP)の見直しです。キーワードや広告文に問題がなくても、受け皿であるLPに問題があるとコンバージョン率は低くなってしまうので、とても重要なポイントです。
改善すべきか判断するために特に見るべき箇所は以下です。これらがズレている場合は改善を行いましょう。
- ファーストビューで商品の特徴とベネフィットが伝わる
- ユーザーのニーズを満たすコンテンツが配置できている
- バリュープロポジションが訴求できている
- デザインがターゲットユーザーのトンマナに合っている
LPで最も大切な箇所はファーストビューですので、ここから優先して確認するようにしてください。上記で出た用語の解説や、具体的な改善手順はLPがリスティング広告に必要な理由と格安で成果の出るものを作る手順で解説していますので、こちらをご覧ください。
そもそもLPではなく、ホームページに配信している場合はLP作成することをおすすめします。ホームページは情報量は充実していますが、特定の語句を検索した人にとっては、情報過多になる可能性があります。よってリスティング広告とLPは基本セットにしたほうがコンバージョン率は上がることが多いはずです。
3. リスティング広告のコンバージョン率の上げる際にやるべき施策(優先度低)
着手優先度 | 施策 |
---|---|
低 | 予算配分(アカウント構成)の見直し |
入札戦略の見直し | |
CVRの低い曜日時間の配信カット | |
配信エリアの調整 | |
広告掲載順位の引き上げ |
優先度の高い施策を実施したら、次はこれから紹介する施策を進めていきましょう。「優先度低」と書きましたが、重要なものも含まれています。あくまで上述した施策よりは優先度が低いという話ですので、誤解のないようにお願いします。
3-1. 予算配分(アカウント構成)の見直し
まずやるべきことは、予算配分の見直しです。予算配分はアカウント構成で決まりますので、アカウント構成を見直しましょう。コンバージョン率の高い箇所へ予算が集中して投下されるように構成するのがポイントです。
以下のようにコンバージョン率が低い箇所にも予算が分散されている可能性が高いようであれば、見直しをおすすめします。
- コンバージョンの見込み度別にキャンペーンが分かれていない
- 広告予算が月額100万円以下など少額であるが、キャンペーンが5つ以上など多い
- そもそも特に目的がなくキャンペーンを分けている
予算はキャンペーンで指定可能ですので、キャンペーンの分け方が肝になります。
気をつけることは多岐にわたりますが、要点をお伝えすると、コンバージョン率の高いキーワードを中心に内包したキャンペーンを作り、そこに予算を多めに配分するようにしてください。予算が50万以下など少額であれば、経験上キャンペーンは多くても3,4つに収まることが多いです。
キャンペーンが多いということは、予算が分散されているということです。この状態に陥ると、上図のようにターゲットユーザーに集中して予算を投下できなくなり、コンバージョン数が減ってしまう恐れがあります。無意味にキャンペーンを分けないようにしましょう。
コンバージョンの見込みの高いターゲットが点在しており、それらを狙う目的で分けているのであれば問題ありませんが、特に意図がなければ削ってください。1つ2つだけで運用することも私は少なくありません。繰り返しになりますが、コンバージョン率の高いキーワードを中心に内包したキャンペーンを作り、そこに予算を多めに配分するようにしてください
リスティング広告のアカウント構成が重要な理由と具体的な作り方で具体的なアカウント構成の作り方を解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
Google広告、Yahoo!広告、Microsoft広告など複数の媒体にリスティング広告を配信している場合は、コンバージョン率が高い媒体に多く予算を配分するようにしましょう。ただしコンバージョン率が高くても、クリック単価が高いと、コンバージョン単価は高くなりますので、コンバージョン率だけを見て予算配分しないようにしましょう。コンバージョン率を上げる目的は、コンバージョン単価の抑制もしくはコンバージョン数を上げることのはずです。
3-2. 入札戦略の見直し
アカウント構成の見直した後は、入札戦略を見直しましょう。入札戦略とは選んだ目標に応じてシステムがキーワード毎に最適な入札をしてくれる機能です。キャンペーン単位で設定可能です。
選択すべき入札戦略は状況によるので、一概にこれにしてください。とは言いづらいのですが、コンバージョン率を改善することが目的であれば、「目標コンバージョン単価」をおすすめします。種類ごとの挙動は以下表をご覧ください。
入札戦略の種類 | 説明 |
---|---|
個別クリック単価 | 上限入札単価をキーワード毎に設定して配信 |
目標コンバージョン単価(最もおすすめ) | 指定のコンバージョン単価を目指しながら配信 |
コンバージョン数の最大化 | コンバージョン数を最大化を狙いつつ、予算を使い切るように配信 |
クリック数の最大化 | 予算内で最大限のクリック数を獲得できるように配信 |
目標インプレッションシェア | 検索結果ページの最上部、上部、または任意の場所に広告が表示されるように、入札単価を自動調整して配信 |
目標広告費用対効果 | 指定のROAS(広告費に対する売り上げの割合)を目指しながら配信 |
コンバージョン値の最大化 | 予算内で最大限のコンバージョン値を目指しながら配信 |
コンバージョン数の最大化も悪くはないのですが、設定した予算を使い切るように動くため、入札価格が著しく引き上げられる恐れがあります。注意をしておきましょう。
上記が実際にあった事例ですが、クリック単価の相場が50円程度のキーワード郡に対して、コンバージョン数最大化を入れたところ、1,000円くらいに上がってしまった。なんてこともあります。(日予算も設定した3倍くらい使っていておいおい…という感じです)
かなり極端な事例ではありますが、万が一こんな挙動をされると、獲得できるクリックが大きく減少してコンバージョンも減ってしまいます。特に予算が少ない場合だと死活問題になりますので、入札価格をある程度コントロールでき、コンバージョンの取れるキーワードに配信を寄せてくれる目標コンバージョン単価を推奨しています。迷ったらこれを選べば大きな失敗はないはずです。
配信開始直後は、個別クリック単価で機械学習の参考になるデータを貯めると、コンバージョン率が安定しやすい。など入札戦略の選択は様々なテクニックがありますので、本来は状況に合わせて選択するのが理想です。これらテクニックは別の記事で解説予定です。
3-3. コンバージョン率の低い曜日時間の配信カット
ユーザーが購買や情報収集を積極的に行わないと考えられる、コンバージョン率の低い曜日時間帯への配信をカットしましょう。特に予算が少ない場合は、コンバージョン率が高い箇所に予算を集中させることが重要になるため、細かい設定ですが疎かにしないようにしましょう。
例えばBtoB商材であれば、土日や平日営業時間外の9時〜18時以外のカットが挙げられます。メール問い合わせや資料請求など顧客対応が必要ないコンバージョンポイントであっても、コンバージョン率が低い傾向であれば停止を検討すべきです。
またBtoC商材であっても、深夜はモチベーションが低い状態で検索しているユーザーが多く、コンバージョン率が低いと想定されるためカットする。など、ターゲットユーザーの日常生活を考えながら、配信すべき曜日時間帯を選択することをおすすめします。
コンバージョン数最大化や目標コンバージョン単価等の自動入札戦略を入れている場合は、原則曜日時間帯の調整は不要です。システムがコンバージョン率の低い曜日時間帯の入札を抑えてくれます。ただし、配信して1ヶ月にも満たなかったり、少額予算の場合は、データ量が少なく上手く調整してくれない可能性が高いです。そのため、手動でコンバージョン率の低い曜日時間帯をカットすることをおすすめします。
3-4. 配信エリアの調整
コンバージョン率の高いエリアに集中して配信するよう設定しましょう。特に店舗ビジネスであれば、予算の大きさにもよりますが、原則店舗から近いエリアだけに配信すべきです。店舗近くのユーザーは来店に繋がりやすいため、コンバージョン率が高くなります。
曜日時間帯の設定と同様に、自動入札戦略を入れていれば、エリア毎のコンバージョン率を加味してシステムが配信強弱をつけてくれます。そのため、自動入札戦略を導入済みの場合は、明らかに不要なエリアをカットする程度の調整で問題ないです。
3-5. 広告掲載順位の引き上げ
広告を上位表示するように調整できるとコンバージョン率は上がることが多いです。特に緊急性の高い商材であればこの傾向が顕著です。例えば、葬儀、鍵交換、水回りトラブルなどです。
ユーザーは早く問題を解決したいと考えているため、目につきやすい上位表示されている広告をクリックして、すぐに問い合わせるため、コンバージョン率が高くなるという仕組みです。下位表示でもクリックはされますが、急いでいないユーザーが多く含まれると想定されるため、上位表示されている広告をクリックするユーザーよりはコンバージョン率は下がるでしょう。
広告掲載順位を上げる方法はキーワードの入札価格を引き上げるか、広告の品質を改善するかです。方法別で説明します。
①キーワードの入札価格を引き上げる
入札価格は個別クリック単価であれば引き上げるだけでOKです。自動入札戦略を入れている場合は、目標の数値を上げましょう。すぐに対応できて確実性の高い方法ですが、デメリットがあります。クリック単価が上がります。
コンバージョン率の改善率以上にクリック単価が上がると、入札価格を上げる前よりコンバージョン単価が高くなりますので、注意をしましょう。そのため改善の緊急度が高くなければ、次の広告の品質の改善から着手することをおすすめします。
②広告の品質を改善する
広告の品質とは広告がユーザーにとって、どれほど有用性や利便性が高いものなのかを評価するための概念です。高いと掲載順位が上がり、クリック単価が低くなるなど優れたパフォーマンスを期待できます。改善して悪くなることは1つもありませんが、管理画面上でスコアは確認できず、構成要素もブラックボックスな部分が多いです。
広告の品質は、検索内容に対する広告文の関連性、ユーザーが広告をクリックする可能性の高さ、ランディングページへ進んだユーザーに提供される体験の質など、複数の要素によって決まります。簡単に言えば、検索語句のニーズに対して広告とLPで適切な価値が提供できていれば高くなると理解して差し支えないでしょう。
改善方法の詳細は品質スコアとは?注視して運用すべきは広告の品質である理由をご覧ください。
リスティング広告のコンバージョン率の上げる際にやるべき施策の紹介は以上です。細かいものを挙げればきりがありませんので、効果的で優先してやるべき施策を抜粋しました。
4. 目指すべきリスティング広告のコンバージョン率の計算手順
ここからはリスティング広告で目標とすべきコンバージョン率の計算方法をの手順を説明します。
目指す数値が理解できていないと、そもそも改善が必要なのか、どれくらい上げる必要があるのかが不明瞭になってしまいますので、配信をする前に計算しておくことを推奨します。
結論、以下の順番で計算をして算出した数値よりも低ければ、コンバージョン率の改善が必要だと判断しましょう。
- 1ヶ月で獲得したい目標コンバージョン数を決める
- 使える月額広告予算を決める
- 使える予算 ÷ 相場のクリック単価を行い、獲得できるクリック数を試算する
- 目標コンバージョン ÷ 獲得できるクリック数を行い、目指すコンバージョン率を計算する
1つずつ説明します。
面倒であれば弊社のようなリスティング広告代理店にお願いすれば計算してくれるはずなので、ぜひご相談してみてください。弊社は無料で対応しております。
4-1. 1ヶ月で獲得したい目標コンバージョン数を決める
まず獲得したいコンバージョン数を決めます。ここではわかりやすくするために、1ヶ月で50件のコンバージョンを獲得したいとします。
4-2. 使える月額広告予算を決める
次はリスティング広告に使える予算を決めます。今回は月額50万円の予算を使えるとします。
4-3. 使える予算 ÷ 相場のクリック単価を行い、獲得できるクリック数を試算する
次は予算内で獲得できるクリック数を試算します。予算 ÷ 相場のクリック単価を行いましょう。
まだ配信していない場合、相場クリックは少額からリスティング広告を始めるべき理由と成果を出す鉄則で解説している方法で調べてみてください。キーワードの選び方も合わせて説明しています。配信中であれば実際のクリック単価をベースに進めましょう。
今回の相場クリック単価を500円とすると、500,000 ÷ 500 = 1,000 となりますので、この予算だと1ヶ月でおおよそ1,000クリック獲得できることがわかります。実際のクリック単価は上下しますので、ざっくりの数値がわかればOKです。
4-4. 目標コンバージョン数 ÷ 獲得できるクリック数を行い、目指すコンバージョン率を計算する
最後に目指すコンバージョン率を計算します。目標コンバージョン数 ÷ 獲得できるクリック数を行いましょう。
今回は 50 ÷ 1,000 = 5% となるので、コンバージョン率が5%で目標の50件のコンバージョンを獲得できる計算になります。あくまで目安ですが、クリック単価が500円程度だとすると、コンバージョン率は5%前後に着地させる必要があることがわかりました。
よってもし配信中でコンバージョン率が5%以下であれば改善が必要です。その場合は2章で説明した施策を実行していきましょう。
今回の例ではコンバージョン率が5%必要という着地になりましたが、達成するのは困難だと判断できます。よって予算を追加して、獲得できるクリック数を増やすことを検討したほうがよいでしょう。
海外のデータになりますが、Web広告運用ツールを提供しているWordStream社の調査だと、Google 広告の平均コンバージョン率は3.75%と発表されています。私の経験からすれば高いと感じており、おそらく大手の会社実績や電話タップ等の軽いコンバージョンも多分に含む数値です。
これまで中小企業を中心に300社以上運用してきた経験から言えば、問い合わせや資料請求のコンバージョン率は1%〜2%前後になることが多かったです。よって目指すべきコンバージョン率は、高くても2%程度になるような予算と目標コンバージョン数を設定することをおすすめします。(業種やコンバージョンポイントによってはもっと高いことはありますが)
高みを目指す前提ではありますが、相場より高い無謀すぎる目標を立ててしまうと、達成できず事業計画が狂ってしまうはずなので、注意をしてください。
5. リスティング広告のコンバージョン率に関してよく頂く質問
最後に無料カウンセリングやお客様からよく頂くコンバージョン率に関する質問とその回答を紹介します。運用しているとこのような疑問が出るはずですので、ぜひ参考にしてみてください。
5-1. コンバージョン率を画面で確認したいときはどこを見ればいいですか
Google広告であればキャンペーンや広告グループ、キーワードごとに上記の赤枠箇所から確認できます。もし表示されていない場合は、表示項目にコンバージョン率が含まれていないかと思いますので、青枠で囲った表示項目の箇所をクリックして、コンバージョン率にチェックを入れてください。Yahoo!広告も見方はほぼ同じです。
そもそもという話ですが、コンバージョンの計測設定をしないとコンバージョンの獲得件数やコンバージョン率はわかりません。リスティング広告を配信するのであれば絶対にすべき設定ですので、コンバージョンの計測設定をしていない場合は必ず行ってください。やり方は別の記事で解説予定です。
5-2. 一向にコンバージョン率が改善しないのですがどうしたらいいでしょうか
この記事で説明した内容の改善をしてもコンバージョン率が上がらないのであれば、以下のどれかに当てはまる可能性があります。
- リスティング広告と相性の悪い商材である
- そもそも商材のニーズがない
- サービスの様々な面で競合より劣っており、比較段階で候補から外れている
- 商圏外のエリアに配信している(配信設定ミス)
リスティング広告は比較的どの商材とも相性が良いですが、中には合わないものもあります。例えば認知がされておらず検索行動に繋がらない商材。粗利・利益率やリピート率が低いビジネスであれば、広告費が多くかからないモールへの出店などの方が上手くいくケースもあります。
そのため運用に問題がないにもかかわらず、赤字が半年以上続くなど、費用対効果が芳しくない場合は撤退も視野に入れましょう。ただリスティング広告は費用対効果の高い代表的な広告ですので、商品やサービスに改善できる箇所がないか一度確認することを強くおすすめします。
競合のサービスより多くの点で劣っており、比較段階で候補から外されてしまっている。と考えられることは分析していて少ないです。広告の改善だけではコンバージョン率を上げるのが難しい場合も正直あります。
コンバージョン率以外も含めたリスティング広告の改善手順は、もう迷わない!リスティング広告の目的別改善手順と注意すべきことで説明していますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
5-3. 異常にコンバージョン率が高いのですが大丈夫でしょうか
運用が抜群に上手くいっている可能性もありますが、10%以上等明らかにとんでもなく高い場合は、コンバージョンの計測設定ミスを疑いましょう。よくあるのが以下になります。
要因 | 説明 |
---|---|
コンバージョンのカウント方法が全件になっている | 例えば電話ボタンのタップがCVであれば、タップした回数がCVになっている。何回タップされてもCVは1になるよう設定すべき。 |
コンバージョンタグの発火条件が間違っている | 問い合わせの完了ページの閲覧数をCVのトリガーにするところ、問い合わせページの閲覧がトリガーになっているなど。 |
確認と対処法を要因別で解説します。
①コンバージョンのカウント方法が全件になっている
1回の広告操作で生じた最初のコンバージョンのみに価値がある場合は、コンバージョンのカウント方法を初回のみにしましょう。例のように電話番号のタップ回数を計測する際に、初回のみではなく、全件を設定してしまうと、タップされた回数だけコンバージョンが計上されるので、コンバージョン率が著しく高くなる可能性があります。商品購入など、複数回コンバージョンされて価値がある場合は、全件の設定で問題ありません。
Google広告であれば、コンバージョンアクション設定画面のカウント方法から、どちらで設定するか選べます。右上の「ツールと設定」→「コンバージョン」を選んでいただければこの画面に移れます。
②コンバージョンタグの発火条件が間違っている
例のように、問い合わせの完了ページの閲覧数をコンバージョンの発火条件にするところ、問い合わせページの閲覧がトリガーになっているなど。コンバージョンが多く計上されてしまう設定になっている可能性もあります。
コンバージョンタグをWebサイトに直張りしている場合は、設置ページ。Googleタグマネージャーを使われている場合は、トリガーの条件を確認して、問題ないか見ておきましょう。
初心者は間違いやすい箇所なので、慣れない部分で大変かと思いますが、1つずつ慎重に確認してみてください。自分も素人の頃は、トリガーの条件を間違えてとんでもない数のコンバージョンを計測してしまったことがあります。
5-4. コンバージョン率改善に役立つツールはありますか
LPの改善をするツールになりますがおすすめを1つ紹介します。コンバージョン率はLPの導線次第で大きく左右されるため、運用の改善を合わせてぜひヒートマップツールの導入を進めてみてください。
①Microsoft Clarity
無料で使えるヒートマップツールです。ユーザーがWebサイト上でどんな行動をしているのかがわかります。
ヒートマップツールなので、よくクリックされている箇所やスクロールした範囲は勿論わかりますが、個々のユーザーの画面内の動きを動画で確認できるレコーディング機能が素晴らしいです。
この機能を使うことで実際のユーザー行動を観察できるため、サイトの導線改善に非常に役立ちます。例えば、誘導させたい箇所があまりクリックされていないようであれば、該当箇所の訴求内容やデザインを変更する。といった形です。
リスティング広告運用とLPはセットであり、LP改善(コンバージョン率改善)する上で必須ツールと私は考えているので、ぜひ活用してみてください。無料とは思えないクオリティです。
URL | https://clarity.microsoft.com/ |
かかる費用 | 無料 |
さいごに. ユーザーのニーズに真剣に向き合うことがコンバージョン率改善の本質である
リスティング広告のコンバージョン率を上げるテクニックは紹介したように色々ありますが、本質をお伝えします。
ユーザーのニーズに真剣に向き合うことです。
- この商品を購入する人は何がきっかけなんだろう
- どんな情報が提供されたら嬉しいのだろう
- どんな状況で検索しているんだろう
- 反対に嫌なことはなんだろう
といったことを真剣に考えてください。
私はリスティング広告のコンバージョン率は、ユーザーの幸せを真剣に考えられれば、自然と上がると考えています。テクニックは大事ですが、究極を言えばこの気持ちを持つことのほうが重要だと本気で思っています。
リスティング広告に限らず、Webマーケティングはテクニックが重要視されがちですが、本質を見失うと目先の数値は改善されても、売上や利益に繋がらない事象が発生します。というのもユーザーを騙すような表現をすればコンバージョン率は簡単に上げられるからです。しかしこれは短期でしか続かないはずです。評判が下がるからですね。
コンバージョン率 = ユーザーの幸福度と考えると、長期的な売上に繋がる運用ができますし、楽しいはずですので、ぜひ参考にしてみてください。