リスティング広告で本気で成果を上げるのであれば自社運用がベストだと思っています。しかしノウハウや人、時間などのリソースが必要になるので実際は難しいことも多いです。そのため、確実にすぐ結果を出したいのであれば代理店に外注するのがおすすめです。

運用代行手数料がかかるからという理由で、自社でやろうと試みたが、結局人件費がかさみ外注したほうがコスパが良かったということは珍しくありません。成果も出るし、費用も削れるのであれば外注したほうがよいですよね。

注意点として外注すれば必ず成果が出るわけではないです。

リスティング広告は運用者によって成果が左右されますので、実績のある代理店に任せても運用者が新人で未熟だと期待した結果にはならない場合もあります。そのため外注時は、運用者の能力もしっかり見ることが重要です。

この記事ではリスティング広告を外注すると得られるメリットと成果を出す外注先を選ぶポイントを説明します。自社の運用に限界を迎えた、リスティング広告をはじめようと思っている方の参考になる情報だと思いますので、役に立てば幸いです。

1. リスティング広告を外注すると行ってくれる3つのこと

はじめにリスティング広告を外注して代行してくれる内容を説明します。代理店によって細かい内容は違いますが、最低でも以下3つは代行してくれるはずです。

1-1. 広告配信

リスティング広告を配信するまでの設定です。以下は設定の一例ですが、リスティング広告には次のようなしなければいけない準備がたくさんあります。

  • Google広告やYahoo!広告どちらを使うのか決める
  • どのエリアに配信するのか決める
  • どのようなキーワードを登録するのか決める
  • コンバージョンを計測するタグの設定をする

Webマーケティングをかじったことのある方やパソコン操作が得意な方がいれば、自社で進められると思います。ただこれらに苦手意識がある場合は外注化を積極的に検討すべきです。リスティング広告の準備で本業がおろそかになってしまうリスクがあるからです。

最低限の進め方はリスティング広告を自分で始めるやり方と初心者でも成果を出す秘訣で解説していますので、ご覧いただき自社でできそうか確認してみてください。

1-2. 予算管理

決めた期間にいくら予算を使うか管理する対応です。リスティング広告は仕様上、指定の金額を決めた期間で配信するためには定期的にいくら使っているか確認して日々調整する必要があります。これを怠ると極端ですが、月に50万円の予算で配信するはずが100万円まで配信されてしまった。というような予算超過が起こります。

リスティング広告の予算のgraf

ただ配信金額と請求金額はイコールではありません。ひと月で請求されるのは設定した1日の予算の30.4倍までに収まる仕組みがあるので、上記の場合1日の予算を16,500円に設定していれば、マックスでも501,600円までの請求になります。100万円請求されることはないためご安心ください。詳しくはGoogle広告のヘルプページをご覧ください。

1-3. 運用調整

運用の定義は会社によって様々ですが、目標達成のためにキーワードや広告文、入札価格などをリスティング広告の管理画面で調整する対応を一般的に指します。リスティング広告は運用型広告と言われる種類で、配信したら終わりの広告ではありません。上記のような調整を行い、目標達成に近づける対応が求められます。

これが上手な人は優れた運用者と言われます。運用調整次第で成果が大きく変わるので、的を外していたり、適当に対応していると成果は改善されていきません。運用者選びが重要な理由はこれが理由です。代理店選び以上に運用できる人を選びが大切です。

手順の詳細は割愛しますが、基本的に定めたコンバージョン(問い合わせや資料請求など)数の到達から逆算して、クリック数やコンバージョン率が改善できるように運用していきます。やり方の詳細はリスティング広告の運用とは?やるべき理由や実施内容を詳しく解説をご覧ください。

2. リスティング広告を外注すると得られるメリット

次はリスティング広告を外注すると得られるメリットを紹介します。この後デメリットも説明しますが、先にご覧いただき外注するかどうかの判断材料にしてみてください。

結論を端的に言えば、手間をかけず早く成果を出しやすくなることがメリットです。

2-1. プロが運用してくれるのですぐに結果が出やすい

広告運用は経験を積んできたプロが行うため早く成果が出やすいです。リスティング広告で成果を出すためには原理原則を理解し、ユーザーが何を求めているかを理解する能力が求められます。

これまで私は10人以上の未経験者をお客様が担当できるレベルまで教育してきましたが、はじめから十分にできている方は私の観測上いませんでした。そのため、すぐに成果を出したいのであれば絶対に外注したほうが良いと思っています。座学で学べることもありますが、経験に勝るものはないというのが持論です。

また、業種によってコンバージョンが取れるキーワードや広告文の傾向は異なるので、経験して理解しているかどうかも大きいです。私の例で少しお話しします。不用品回収であれば、地域名×不用品回収キーワード且つ、詰め放題プランを訴求した広告文のコンバージョン率が群を抜いていました。よって同業種では基本的にこれらを強めた配信を行います。

ユーザーが何を求めているかを理解できる人が優れたマーケターだと言われますが、これは私も同感です。多種多様な業種を経験して、求められていることを理解して運用できるプロに任せることですぐに結果が出やすいといえるでしょう。

改善をするための原理原則はもう迷わない!リスティング広告の目的別改善手順と注意すべきことでまとめていますので、興味があればぜひご覧ください。

2-2. 自社で運用する手間がかからない

上述した運用を自社で行う必要がなくなるので手間が省けます。自社運用だと本業の片手間での調整になってしまい疎かになりがちですが、外注すれば広告運用を専属で行うプロに任せられます。

予算やキーワードの数等によって異なりますが、特に配信して1ヶ月は2日に1度は確認して調整をする必要があると私は思っています。初期段階はコンバージョンの取れないキーワードに配信が寄ってしまうなどの事象が発生しがちなので、調整頻度を高めるべきです。

重要なことですが、リスティング広告は運用しないと成果は絶対に改善されないため必須です。サボると費用対効果は上がりませんので注意をしましょう。社内で運用する時間が取れなさそうであれば外注することをおすすめします。

2-3. リスティング広告のアップデート情報を追う必要がない

リスティング広告はアップデートが毎月のように行われるので、媒体の公式ページ等で情報収集をして仕様を理解しておく必要があります。新しい機能が登場したり、突然仕様が変わることもあるので、怠ると古い知識のまま間違った運用をしてしまい、成果をを落としてしまう可能性もあります。

信頼できる運用者に外注すれば最新機能や仕様を踏まえて運用してくれますので、自身でアップデート情報を追う必要はなくなります。また、代理店だけに早めに公開される情報も中にはありますので、これを踏まえて運用してくれることもポイントの1つです。

情報収集できてないと確実に大きく成果を落とすというわけではありませんが、自社で運用する場合は週に1度はアップデートがないか確認することを推奨します。

3. リスティング広告を外注したときのデメリット

続いて外注したときのデメリットを紹介します。いいことばかりではありませんので、悪い点も理解した上で任せるか決めましょう。

3-1. 運用代行手数料がかかる

外注費(運用代行手数料)がかかります。相場は予算の20%のため、この場合月額100万円の予算で外注すると、月に20万円の手数料が発生します。予算が500万以上などある程度の規模になると、月間で100万以上と会社によっては大きなコストになる可能性があります。

ただ社内で満足なレベルで運用するためには人件費や教育採用コスト、時間がかかるので、その分の費用と考えれば妥当な金額として判断できることもあるでしょう。腕のある人に外注できれば、手数料以上に売上を上げてくれるはずです。

育成にかかる時間は、数十人の未経験者をクライアントが持てるレベルの運用者に育成していた私の経験をお伝えします。少なくとも3ヶ月は運用できる状態に仕上げるのに時間がかかっていました。横に張り付いてつきっきりで教育した環境でしたし、飲み込みが良くない人だと1年以上かかるケースもありました。

自社で運用できる状態を作りたい場合は、インハウス支援サービスを利用することをおすすめします。完全独学だと間違った方法を覚えてしまう恐れがあるため非推奨です。楽器等の習い事と同様ですが、特に土台のない初期はその道のプロから教わる方が安心です。

費用をかけたくない場合は、リスティング広告の本や弊社のようなノウハウを発信しているブログを読んで、運用しながら学んでいきましょう。時間をかけてじっくり学んでいくのも1つですので、予算と相談しながら対応を考えてみてください。

3-2. 顧客ニーズをドンピシャで理解した運用が難しい

外注先の運用者は社外の人間なので、顧客ニーズを社員さんより理解して運用するのは難しいと思っています。私は広告運用を代行する立場として、可能であればお客様のサービスを利用したり、現場に立ち会わせてもらったりと、顧客理解に本気で努めています。しかし頻繁にサービスや顧客と接している社員さん並みに理解できているとは正直思えません。

私は自社の人間が一番顧客ニーズを理解しており、最も運用者に適していると考えています。ただ社内リソースの問題で難しいことが多いのが現実でしょう。

外注先によりけりですが、顧客ニーズの理解を深めるために弊社のように、サービスを体験してみるなどの取り組みを行っている会社もあります。もし外注を考えている場合はこういった会社に任せることをおすすめします。実際に当事者になることがニーズの理解に最も役立つと私は思っています。

3-3. 迅速かつ細かい調整をしてくれない場合がある

外注先のルールやキャパによりけりですが、調整依頼をかけても実装は2営業日後になるなど、すぐにしてくれないことがあります。また、キーワードの入札価格を1円単位で細かく調整する等の依頼は、原則受け付けてくれないはずです。これは極端な例でそもそも価値を感じないですが、細かすぎる依頼だと時間がかかるのでお断りされるでしょう。

細かいこだわりを持って運用したいのであれば自社でやりましょう。外注しているのに細かく指示するようであれば、依頼している意味が薄れてしまいます。運用代行する立場からお伝えすると、目標値のみ共有して、やり方はお任せする。くらいのスタンスのほうが気持ちよく対応でき、成果も伸びるケースが多い印象です。餅は餅屋の精神を大切にすることをおすすめします。

デメリットの説明は以上です。

4. リスティング広告を外注すべきか判断するために確認する3つのポイント

メリットとデメリットを踏まえて次は、リスティング広告を外注するか判断をしていきましょう。そのためには以下3つを確認することが重要です。

4-1. 3ヶ月以内に成果を絶対に出さないといけないか

成果の度合いにもよりますが私の経験上、初心者が3ヶ月以内で代理店並の成果を出すことは難しいため、この場合は外注を推奨します。これ以上猶予があれば学習しながら運用していくのも1つの手ですが、確実性を求めるのであれば外注すべきでしょう。

4-2. 手数料がかかっても問題ないか

相場の予算の20%の手数料がかかっても問題ない場合は外注を推奨します。これ以下で請け負ってくれる代理店も数多く存在しますが、しっかり運用してくれるところに任せるのであればこのくらいかかると見ておいたほうがよいです。手数料を払いたくない場合は自社で運用しましょう。

4-3. 社内で広告運用できる人材はいるか

パソコン操作が得意な方で、日中運用に時間が割けられる人材がいる場合は社内での運用を検討してもよいでしょう。いないし手数料も払いたくない場合は代表自身が時間を作って運用するしかありません。お金をかけない場合は時間を使うしかありません。つらいところですがこれはしょうがないですね…。

5. リスティング広告の外注先を選ぶ際に必ず見るべきポイント

ここからは外注先を決める際に必ず見てほしいポイントをご紹介します。

外してはいけないのが、ノウハウがあり丁寧に運用してくれる会社を選ぶということです。リスティング広告は運用者で成果が左右されます。よって外注すれば必ず効果が出るわけではないので注意が必要です。

成果面と契約面の2つに分けて説明していきます。

5-1. 成果面

①運用実績

会社が運用してきた経験業種や数等の実績を確認しましょう。自身の経験から運用に慣れるには量をこなす必要があると考えているためです。質も大事ですが量には勝らないと思っています。どれくらいの数があれば安心かというものはないですが、多いにに越したことはないです。

自社と同じ業種の経験がある場合は、コンバージョンするキーワードの傾向を理解している可能性が高く、早く成果を出してくれると考えられるため、任せる有力候補として検討してよいでしょう。

②運用ノウハウ

会社が運用ノウハウを持っているかどうか確認しましょう。確認方法は会社が発信している情報を見るのがおすすめです。一般的に弊社のようなブログで発信されているケースが多いです。確認して具体的な内容まで言及しているか、信頼できそうか見てみましょう。

見る際は、「こうしましょう。こうすべきです。」といったノウハウの主張があるかどうかを注視しましょう。用語をわかりやすく解説することは正直調べたら誰でもできますが、具体的なノウハウは経験がないと伝えるのが難しいと判断できるからです。

③運用担当者

運用してくれる担当者を確認しましょう。広告運用は属人性の高い仕事ですので、会社にノウハウがあっても運用者が初心者だと期待した効果が得られない可能性があります。

見るべきは実績と価値観です。価値観を見る理由は、実績があっても大切にしていることがズレていると話が噛み合わなかったり、円滑にコミュニケーションができないリスクがあるからです。そのため話して価値観が合う、信頼できそうな人か見極めることをおすすめします。ここは正直フィーリングだと思います。

5-2. 契約面

①運用代行手数料

相場は広告予算の20%ですので、これ以下であれば適正料金と言えます。これ以上であれば高い部類なので、間違いなく信頼できると感じられる会社でなければ契約は慎重になったほうがよいです。

反対に10%など著しく安い場合は、丁寧に運用してくれるかどうかを確認しましょう。安くすると案件を増やさないと儲からないので、仕組み上運用時間を確保するのが難しいです。運用しないと成果は改善されませんので、安いからといって飛びつくのは私はおすすめできません。

試しに配信してみたい、そこまで広告で売上を伸ばす気がないといった理由があれば問題ないですが、売上をガツガツ増やしたいのであれば丁寧に運用してくれる会社を選びましょう。安くて運用してくれる会社があればベストですが、正直少ないと思います。

②最低契約期間

6ヶ月以上であれば慎重になるべきです。私の感覚だと3ヶ月が最も多い印象です。短くて1ヶ月、長いと6ヶ月です。成果が出ず赤字なのに辞められないのは辛いので、短いに越したことはありません。

リスティング広告は仕組み上、配信してデータが蓄積されないと改善が難しいです。そのため成果が芳しくなくても、3ヶ月は様子を見ることをおすすめしています。的を得た改善ができれば、3ヶ月目からコンバージョン単価が半減など大きく費用対効果が良化することは珍しくありません。

③連絡窓口

広告運用者と直接連絡が取れるか確認しましょう。営業担当としか連絡が取れないと、伝言ゲーム的なコミュニケーションになるので、時間がかかり煩わしくなる可能性があります。

④広告アカウントの共有

広告アカウントの閲覧権限を発行して共有してくれるかどうかを確認しましょう。全ての会社が該当するとは思いませんが、どんな運用をしているか公開しない=運用が適当なことを隠す目的のケースもあります。

ノウハウ流出の観点から公開していない会社もあります。理由はわかりますが、私はどんな運用をしているか堂々と公開してくれる会社の方が信用できると思っています。

成果を出してくれる代理店を選ぶポイントは中小企業が爆発的な成果を出すためのリスティング広告代理店の選び方完全ガイドで解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

6. リスティング広告を外注した後に気をつけるべきこと

最後にリスティング広告を外注した後に気をつけてほしいことを説明します。運用能力のある人に外注できれば一定の成果は期待できますが、より改善していきたい意識のある方はぜひご覧ください。

6-1. 情報提供を行う

見込み客からよくいただく質問やコンバージョンに至ったユーザーの傾向など、運用しているだけでは掴めない情報を提供しましょう。広告文やランディングページの改善に役立つので、コンバージョン率改善の効率が増します。

お互いの目指すゴールはコンバージョンの最大化です。そのために参考になる情報はあるに越したことはありません。

本来は運用者が発注者に働きかけるべき内容だと思いますが、丸投げせず協力して成果が改善できる関係が望ましいと私は思っています。

6-2. 一向に成果が改善されない場合は代理店の乗り換えを検討する

3ヶ月以上目標が未達など求めている成果に届かない場合は、別の会社に乗り換えを検討しましょう。運用者の能力不足の可能性が高いです。配信初月など期間が浅い場合は、データ不足などの理由が考えられるので、該当する際はもうしばらく待つのをおすすめします。

リスティング広告代理店の乗り換え・切り替えを検討すべき状況と失敗を防ぐポイントで乗り換えで注意すべきことを説明しているので、詳細はこちらをご覧ください。

まとめ

リスティング広告で本気で成果を上げるのであれば自社で運用するのがベストだと思っています。しかしノウハウや人、時間などのリソースが必要になるので実際は難しいことも多いです。そのため、確実にすぐ結果を出したいのであれば代理店に外注するのがおすすめです。

無理やり自社で運用した結果、人件費や教育コストが運用代行手数料よりかかり、成果も芳しくなかった。という理由でご依頼いただくケースもありますので、ご注意ください。

リスティング広告は運用者によって成果が左右されますので、実績のある代理店に任せても運用者が新人で未熟だと期待した結果にはならない場合もあります。そのため外注時は、運用者の能力もしっかり見るようにしましょう。