リスティング広告のクリック率は高い状態が望ましいです。ただ上げることに固執するのはおすすめしません。

クリック率が高いと広告掲載順位の上昇や、クリック単価の低下する可能性が上がるなどのメリットがあります。しかしクリック率を無理やり上げてしまうと、クリック数の減少や、コンバージョン率の低下に繋がり、コンバージョン数がかえって減少してしまうことがあるのです。

したがって、クリック率の高さと成果の良し悪しは必ずしも相関があると言えないため、過度に気にする必要はない指標だと私は考えています。目安や平均数値も無視してもらって構いません。業種やターゲット、広告文によって大きく変動しますので全く当てにならないからです。KPIに設定するのも非推奨です。

ただクリック率が上がる仕組みを理解しておくと、クリック数を増やす施策を打つ上で役立ちますので、理解はしておきましょう。

この記事ではクリック率が高くなると生じるメリットや上げるための推奨改善策、クリック率を無視したことでコンバージョンが増えた事例を紹介します。まずはクリック率の概念から説明していきます。

オンジンではこの記事を執筆した、10年近く業界歴のある代表がリスティング広告運用代行を行っています。相場価格で腕の立つ運用者に依頼できますのでお気軽にご相談ください。⇒会社サービス紹介資料を見る(無料)

1. クリック率とは

リスティング広告のクリック率を解説する図

クリック率とは、広告の表示回数(インプレション)に対するクリック数の割合を表す数値です。クリック数 ÷ 表示回数 × 100 で計算できます。

数値が高いほど表示回数に対して、クリックされている割合が大きいことを示します。そのためクリック率が高ければ、広告の訴求内容に興味があるユーザーにアプローチできていると判断できます。

注意点として、提供サービスの価値から逸脱した誇大表現の広告文を配信すれば、クリック率は簡単に高くなるということです。極端すぎる例ですが、リスティング広告の運用代行会社を探しているユーザーに対して「完全無料のリスティング広告代行」という見出しの広告文を表示すれば、ほぼ間違いなくクリック率は跳ね上がるでしょう。

しかし完全無料のサービスを実際提供していないことがページでわかれば、ユーザーは離脱します。よって頻繁にクリックされてコンバージョンしないという費用対効果が最悪の状態になりますので、広告文で釣るような誇大表現をすることはやめましょう。

以上からクリック率の高さと成果の良し悪しは関連がないため、過度に気にする必要はない指標だと私は考えています。

2. リスティング広告のクリック率が高いと得られるメリット

次はリスティング広告のクリック率が高いと得られるメリットを紹介します。繰り返しになりますが、良いことはありますが、クリック率が上がればコンバージョンが増えるわけではありません。よってクリック率を強く気にして運用する必要はありません。

2-1. 広告掲載順位の上昇やクリック単価が低下が見込める

リスティング広告のクリック率を改善すると、広告掲載順位の上昇とクリック単価の低下に繋がることを説明する図

クリック率が上がると、広告がユーザーにとって、どれほど有用性や利便性が高いものなのかを評価する概念である「広告の品質」が改善される可能性があります。広告の品質が改善されると、クリック単価と広告掲載順位を決める「広告ランク」が上がります。

よって、広告掲載順位の上昇やクリック単価が低下が見込めます。非常に紛らわしいのですが、改善に繋がるされる可能性があるだけです。確実に改善されるとは限りません。

理屈を更に深ぼって説明します。わかりやすくするため解説に多少粗はありますが、これからお話しすることを理解していれば、概念を理解する上では問題ありませんのでご安心ください。

広告の品質の構成要素を説明する図

まず、広告ランクを決める要素に広告の品質があります。そして広告の品質の参考値である品質スコアの算出要素に、推定クリック率があります。推定クリック率とは、広告が表示された時のクリックされる可能性の高さです。つまりクリック率と置き換えて大きな問題はないでしょう。

そのためクリック率(推定クリック率)が上げれば、品質スコアが上がるため、広告の品質の改善に繋がる可能性があります。結果、広告ランクが改善されれば、広告掲載順位の上昇やクリック単価が低下が見込めるという仕組みになっています。

品質スコアについて Google広告ヘルプ

しかしここまで説明しておいてですが、上記のように品質スコアを注視した広告運用をGoogleは推奨しないと提言しています。私も1,000アカウント以上運用した経験上、品質スコアを重視した運用は、ユーザーニーズを無視した的の外れた機械的な対応になることが多いと感じていますので、おすすめしていません。

クリック率が上がり、広告掲載順位やクリック単価が改善されても、コンバージョンが取れなくては意味はありません。したがって私はクリック率をさほど見る必要がないと判断してます。

これまでの説明は品質スコアや広告の品質、広告ランクの概念を理解していないと、意味がわかりづらいと思いますので、ぜひ下記記事も合わせてご覧ください。

2-2. クリック数が増える

広告掲載順位の引き上げやニーズを満たす広告文を掲載して、クリック率が上がればクリック数が増えます。

しかしキャンペーンの日予算上限まで予算が投下できていない場合に限ります。余剰予算がない状態までクリックされていれば、クリック率が上がっても広告配信は途中で止まってしまうため、クリック数は増えようがないからです。

キャンペーン予算が少ないことで配信期間の途中で広告が停止することを説明する図

上図は14時にキャンペーンの日予算上限までクリックされてしまい、予算が枯渇して配信が停止した例です。クリック単価が100円固定且つ、予算上限までちょうど使い切ると仮定すると、キャンペーン予算が15,000円に設定されていて、150回クリックされたタイミングでこの状態になります。

これではクリック率が上がっても、配信が途中で止まるためクリック数は増えません。

インプレッションシェアの損失率(予算)を説明するキャプチャ

予算切れで広告が停止しているかは、「インプレッションシェアの損失率(予算)」を見ればわかります。0%より大きければ予算切れが発生しているサインです。数値が大きいほど配信しきれていない時間が長いことを表しています。

時間帯別の配信実績

詳細を確認したい場合は、時間帯別で表示回数を見てみましょう。何時から予算不足になっているかわかります。上の例であれば、18時から表示回数が0になっているため、17時代に予算が尽きたことがわかります。

インプレッションシェアについては別の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。
インプレッションシェアとは?改善が成果向上に必須な理由とその対処法

リスティング広告はクリック課金のため、クリック率を高めても上限予算で獲得できる大まかなクリック数は決まってしまいます。ただMeta広告等のSNS広告はインプレッション課金を採用しているため、クリック率を上げられればクリック数を大きく増やせる違いがあります。

3. リスティング広告のクリック率が下がる主な要因

次はリスティング広告のクリック率が下がる主な要因を説明します。細かいものを挙げればもっとありますが、大体どちらかに当てはまっているはずです。

運用中でクリック率に課題を感じている方は、どれに該当しているか確認しつつ、後述する対応策をチェックしていきましょう。

3-1. キーワードの検索意図を満たす広告文が設定されていない

キーワードの検索意図がズレている例

検索意図とは、ユーザーが検索をする目的を指します。この状態であれば早急に改善してください。クリック率の大きな低下に繋がっている可能性が高いです。

ユーザーは情報を探すために検索をしています。そのため探している情報があることを広告文で伝えれていなければ、クリック率は著しく下がってしまいます。

例えば「名古屋 一戸建て」というワードであれば、名古屋の一戸建て物件を見たい、建てたいというのが検索意図です。このキーワードに対して「名古屋の分譲マンション」という広告文が設定されていれば、求めている情報ではないと判断され、クリックされづらくなってしまいます。

3-2. 広告掲載順位が低い

検索しても視認しづらい掲載順位が低い位置に広告が表示されている場合も、クリック率は下がります。

掲載順位は上述した広告ランクで決まります。そして広告ランクは入札価格で大まかに決まります。そのため入札が低く設定されている場合は、クリック率が下がると認識頂いて大きな問題はないです。

検索広告のインプレッションシェア(ランク)の表示例

ちなみには以前は平均広告掲載順位を管理画面で確認できましたが、アップデートにより現在は見れない状態です。ですのであくまで目安となりますが、インプレッションシェアの損失(ランク)のパーセンテージが大きければ下位表示されていると判断しましょう。

この指標は競合より広告ランクが低いことが要因で広告表示できていないと値が大きくなります。よって数値が大きければ掲載順位が低いと考えられます。

ファーストページビッドのアラート例

また、キーワードのステータスに「1ページ目の入札単価を下回るアラート」が多数表示されている場合も、広告掲載順位が低めであると判断できます。キーワード単位で掲載順位の高低を確認したい場合は、こちらも見ておきましょう。

3-3. ユーザーの目に留まりづらい広告文になっている

検索意図を満たしており上位表示されていても、ユーザーの目に留まりづらい広告文になっているとクリック率が低くなる恐れがあります。

説明するために例を出します。渋谷で醤油ラーメンを食べたいと思い、「醤油ラーメン 渋谷」と検索したとします。その際、下記2つの広告が並んで表示されていたらどちらをクリックしたくなるでしょうか。

  • 渋谷にある醤油ラーメン屋 毎日一生懸命営業中
  • 絶品醤油ラーメン 渋谷駅から3分 芸能人が毎日訪れる名店

恐らく大半の方が後者に目が留まり、クリックをしてみたくなるはずです。

このように広告文の表現でもクリック率は変わりますので、キーワードを詰め込むなどして適当に広告文を作らないでください。

前提、商材によってクリック率の相場は異なります

クリック率の相場は商材によって大きく変わります。業種違いでクリック率の良し悪しを比較することは全く意味がありませんのでやめましょう。

例えば水道トラブルや鍵交換などのライフライン系の商材は、早くトラブルを解決したいニーズがあるため相場のクリック率は高いです。対して学習塾や不動産などの商材は、緊急性は低く、情報収集目的のユーザーも多く含むため、相場のクリックは低めでしょう。

更に設定するキーワードやターゲットによっても変動しますので、クリック率を比較して良し悪しを判断するのは不可能ですし、目的からズレていると私は感じます。

4. リスティング広告のクリック率を上げる対応策

対応策
広告文キーワードの検索意図を満たすテキストを入れる
キーワードと同じテキストを入れる
ベネフィットを言及する
数字や記号を活用する
広告表示オプションを導入する
インサーション機能を用いる
キーワード入札価格を高めて広告掲載順位を上げる
ニーズからズレた検索クエリの除外をする

ここからはリスティング広告のクリック率を上げる対応策をご紹介します。主に広告文とキーワードで調整が可能ですので、これらに絞って説明します。広告文の方がクリック率を改善できる幅が大きいと感じますので、広告文を優先してご対応ください。

繰り返しになりますが、クリック率が上がればコンバージョンが必ず増えるわけではありません。高いに越したことはないですが、ユーザーニーズを蔑ろにした対応をすると逆効果になりますので気をつけてください。無理やり実装するのはやめましょう。

4-1. 広告文

広告文でできる対応策は以下の通りです。

①キーワードの検索意図を満たすテキストを入れる

私が基本且つ最低限やるべきと考えているのが、キーワードの検索意図を満たすテキストを入れることです。クリック率が高い広告文を作る基礎ですので、必ず意識するようにしてください。

結論からお見せすると下記のようなイメージです。登録したキーワードを調べるユーザーが求めていることが提供できる旨をシンプルに表すようにしましょう。

キーワード広告文テキスト
ゴルフクラブ 通販ゴルフクラブの通販サイト
ランニングシューズ ショップランニングシューズ専門ショップ
お掃除ロボット おすすめおすすめのお掃除ロボットなら

広告文には見出しと説明文がありますが、見出しには必ずいれるようにしましょう。説明文は小さく表示されるので、視認されづらいです。大きく表示される見出しに含めることで、クリック率の上昇が期待できます。

②キーワードと同じテキストを入れる

厳密には検索クエリですが、キーワードと同じテキストを広告文にいれるようにしましょう。

一致させることでユーザーの目に止まりやすくなるため、クリック率の向上が期待できます。こちらも目立つ見出しから優先して実装をしましょう。

また、説明文に検索語句と同一語句があると該当文字が太字になります。この効果でもクリック率は向上するといえます。下記は「梨 通販」で検索した時に表示された広告ですが、赤枠箇所が太字になっています。

ただ、全てのキーワードを入れるのは不可能なはずなので、コンバージョンに繋がる主要ワードを積極的にいれることを推奨します。

③ベネフィットを言及する

ベネフィット3分類の図

ベネフィットを言及できると自分ごとに捉えてもらいやすくなるため、クリック率の向上が見込めます。

リスティング広告で一般的に狙うユーザーはニーズが顕在化している層なので、メリットだけを訴求しても魅力的に感じてもらいやすいですが、可能であればベネフィットまで言及しましょう。

ベネフィットは商材の特徴によって様々ですが、一例を抜粋しました。自社の商材だったらどんなものになるのか考える参考にしてみてください。

キーワードメリットベネフィット
保湿クリーム肌を保湿できる若く見られ自信がつく
ランニングシューズ足に優しく走れる楽しく走れてダイエットが捗る
お掃除ロボット自動で掃除してくれる自由時間が増えて日々の充実度が増す

なお、ベネフィットは機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、自己表現ベネフィットの3つがあります。どの軸で訴求すればコンバージョン率が最も高まるか明確にしておくことをおすすめします。ベネフィットの意味やそれぞれの特徴は戦略設計ページで説明していますので、合わせてご覧ください。

④数字や記号を活用する

金額や実績、時間などに関しては以下のように数字で表現しましょう。具体性が増すためクリック率の向上が見込めます。

  • リスティング広告運用代行 300社以上の運用実績
  • リスティング広告運用代行 豊富な運用実績

豊富な〜といった表現も比較のため記載しましたが、数字で記載されているテキストに目が留まる方が多いはずです。ただし実績が少ない場合などは敢えて抽象的したほうが良い場合もあるので、なんでもかんでも数字にすることがないようにしてください。

また、ユーザーの目にとまるとクリックに繋がると想定される見出し訴求は、記号を使って目立たせるとクリック率の向上が見込めます。おすすめは視認性が増す隅付きかっこ【】です。【期間限定○円】といった形で表現をしましょう。

Yahoo!広告の公式より、隅付きかっこを使用したことでクリック率が16%も向上した結果が出たという調査も上がっていることから媒体のお墨付きの記号です。

検索広告において【 】隅付きかっこ が使用可能になりました!

媒体によって使用できる記号は異なりますので、他の記号を使いたい場合は使用可能かどうか確認をしておきましょう。

Yahoo!広告!使用可能な文字種別、スペース、記号種別
Google 広告で使用できる記号一覧

⑤広告表示オプションを導入する

パーツ名役割文字数制限
①広告見出し/タイトル最も訴求したい内容を目立たせる半角30字
②説明文見出しで説明できないことを補足する半角90字
③パス/ディレクトリページがどのような内容なのか伝える半角15字
④広告表示オプション様々な情報を訴求する種類による

広告表示オプションを導入することで、広告の専有面積が広げられ、訴求内容も増やせるため、クリック率の向上が期待できます。上図で言えば④が広告表示オプションに該当します。

基本導入できるものは全て設定することをおすすめします。

2024年9月時点ではGoogleだと以下の種類があります。ただ配信目的をそぐわないものは設定すべきではありませんので、どれが使えそうか確認してみてください。

設定しやすくクリック率の向上が期待できるオプションに★をつけています。これらを優先して設定してみましょう。Yahoo!はこれより少し少ないですが概ね同じです。

広告表示オプションの種類説明設定のしやすさ
サイトリンク表示オプションランディングページ以外のリンク先を複数設定
コールアウト表示オプション商品やサービスの強みをテキストで表示
構造化スニペット表示オプション商品やサービスのラインナップを追加
画像表示オプション広告の横に画像を表示する
電話番号表示オプションタップすると架電できる電話番号を表示
住所表示オプション店舗住所を表示
価格表示オプション商品の価格を表示
ビジネスの名前ブランドや会社名を表示
ビジネスのロゴブランドや会社のロゴを表示
リードフォーム表示オプションリンク先に遷移させずリードフォームを掲載する
アプリリンク表示オプションアプリのダウンロードリンクを表示
プロモーション表示オプションセールやプロモーション情報を表示
販売者評価表示オプション口コミを表示
メッセージ表示オプションメッセージでの問い合わせを促す
アフィリエイト住所表示オプション商品を販売している最寄りの店舗住所を表示

⑥インサーション機能を用いる

広告文に検索したキーワードに反応した語句を挿入したり、検索した地域名を入れるインサーション機能を用いるとクリック率の向上が期待できます。

意味のわからない文章にならないように設定するなど、気をつける点はありますが、商材によってはコンバージョン率の向上にも繋がる機能ですので、ぜひ導入を検討してみてください。

機能のご紹介や設定方法は下記ページでしておりますので、合わせてご覧ください。

レスポンシブ検索広告とは?コンバージョンを獲得するための作成ポイントも解説

4-2. キーワード

キーワードでできる対応策は以下の通りです。

①入札価格を高めて広告掲載順位を上げる

入札価格を高めることで掲載順位を引き上げられるため、クリック率が改善できます。手っ取り早い方法ですが、クリック単価も上がりますので注意をしましょう。

引用:2024 comparison of Google organic clickthrough rates (SEO CTR) by ranking position

firstpage.comの調査データによると、リスティング広告で1位表示された際のクリック率は平均2.1%です。しかし2位になると1.4%。3位だと1.3%まで落ちます。

上部に掲載されるほどユーザーから広告が視認されやすくなるため、クリック率は基本的に上がります。インプレッションシェアの損失(ランク)のパーセンテージが大きかったり、1ページ目の入札単価を下回るアラートが出ている場合は、引き上げを検討してみてください。

個別クリック単価を採用していれば、キーワードの入札価格を引き上げるだけでOKです。スマート自動入札を使用している場合は、目標のコンバージョン単価や売上の値を上げましょう。入札価格も同じように引き上げられます。

②ニーズからズレた検索クエリの除外をする

検索意図のズレた語句を除外することでクリック率の向上が期待できます。

管理画面から検索クエリを確認して、広告で訴求している商品やサービスを求めていると判断できない語句を除外登録しましょう。業種別で除外クエリのイメージを記載しますので、参考にしてみてください。

業種除外対象クエリ例
参考書、競合塾名、自分で
不用品回収市役所、無料、シール、リサイクル
注文住宅販売賃貸、マンション、アパート

除外する際は表示回数もしくは、投下費用が多い順番に並べて、上から見ていくと効率が良いです。改善インパクトの大きいものから除外できます。

除外キーワード登録はクリック率の改善に限らず、コンバージョン単価の抑制にも繋がります。リスティング広告運用をする上で必須の対応ですので、ぜひ実践してみてください。除外キーワードの登録方法については下記の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。

除外キーワードとは?効果の出る選び方と設定方法から理解すべき仕様

リスティング広告のクリック率を上げる対応策の説明は以上です。

5. リスティング広告のクリック率を無視してコンバージョンが増えることを証明する事例

ここまでクリック率の改善策をご紹介しましたが、私はクリックを上げることに固執するのはおすすめしていません。特に予算が少ない中小企業は、少々極端ですが無視してもらっても構わないくらいだと思っています。高いに越したことはありませんが、執着しないようにしましょう。

クリック率を高める場合、クリック単価を上げる必要が出てくることも多いため、予算が少ないアカウントだとかえってコンバージョン単価が高騰してしまうことは少なくないです。

このような例含め、クリック率を無視した結果、コンバージョンが増加した事例を紹介します。クリック率の改善を第一目標としたりKPIにすることは的外れだと私は考えていますので、参考になりましたら幸いです。

5-1. 法人向けサービスであることを広告文見出しで訴求してコンバージョン率を高めた

業種はBtoB専門の清掃代行となります。広告文見出しに【法人向け】と表示して、法人向けサービスであることを明確にして、コンバージョン率を高めました。含めていない時期と比較するとクリック率は下がりましたが、コンバージョン数は増えています。

清掃代行サービスを検索するユーザーはBtoCユーザーが多い状態のため、一般住宅の清掃を希望するユーザーからのクリックばかりが集まってしまい、コンバージョン率が低い課題がありました。

そこで広告文に【法人向け】と表示することで、BtoCユーザーのクリックを極力防止し、BtoBニーズのクリックを増やしました。結果コンバージョン率が改善されています。

清掃代行に限らず、検索語句でニーズの切り分けができない場合は広告文で切り分けしてみてください。

5-2. 広告掲載順位を下げてクリック単価を落とすことでコンバージョンを増やした

キーワードの入札価格を下げたことで広告掲載順位も下がり、クリック率が低下しましたが、クリック単価の抑制に成功し、クリック数が増加しコンバージョンが増えた事例です。

「2-2. クリック数が増える」で言及した、上記のように予算が枯渇して1日の途中で配信停止しているアカウントでした。クリック単価を下げることで、配信できる時間及びクリック数が増え、コンバージョン増加に繋がりました。

掲載順位が下位でもコンバージョン率が下がりづらい、緊急性の高くない商材且つ予算が潤沢ではない場合は有効な手法です。

5-3. クリック率の高い完全一致とフレーズ一致を停止し、インテントマッチのみ配信してコンバージョンを増やした

クリック率の高い完全一致、フレーズ一致のキーワードを停止して、コンバージョンを増やした事例です。

これらはキーワードは検索語句と似た語句に広告表示できるためクリック率が高いです。しかし、インテントマッチと比較するとクリック単価が高い傾向にあります。そのため停止して、インテントマッチだけ配信することで、予算内でのクリック獲得数が増え、コンバージョンが増加しました。

インテントマッチは拡張性の高いマッチタイプのため、検索意図がズレた語句からクリックが集まりやすいデメリットがあります。ただ配信した商材はコンバージョンに繋がる語句が多岐にわたっていましたので、むしろ相性が良く、コンバージョン率も上昇しました。

クリック率は低下しましたが、コンバージョン増加に関わる、クリック数とコンバージョン率の改善に繋がりました。

コンバージョンが特定の検索クエリに集中しない商材であれば、同じようにインテントマッチのみの配信でコンバージョンが増える可能性は高いため、ぜひ実践してみてください。100業種以上運用してきた私が理解している、コンバージョンに繋がる語句が多岐にわたる商材の一例を紹介します。検索意図が多い商材が当てはまりやすいです。

  • 便利屋
  • 給湯器交換
  • リフォーム
  • 税理士
  • 剪定代行
  • 不用品買い取り

さいごに. リスティング広告のクリック率は必ずしも高める必要はない

リスティング広告のクリック率は高いと、広告掲載順位の向上やクリック単価の抑制、クリック数の増加に繋がるため、高い状態が望ましいです。

しかし最後にご紹介した通り、クリック率が下がる施策を行ったことでコンバージョンが増えることも往々にしてあります。そのため必ずしも高める必要はありません。完全に無視してOKとは言いませんが、上げることに固執するのはやめましょう。

リスティング広告のコンバージョン数を改善する図

上図のようにコンバージョンに直接関わる指標は、コンバージョン率とクリック数です。コンバージョンを増やすのであれば、これらが改善できる施策を打つことが重要です。下記の記事でこれらを改善する手順を解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

ロジックツリーで考えよう!リスティング広告の改善手順と注意すべきこと